財政健全化と経済成長率向上
2022年03月29日
鈴木洋一 at 21:44 | 活動
新年度(令和4年度)がスタートします。現下のコロナ禍、台風災害からの復興、そして、構造的な課題である人口減少、少子超高齢社会の進展等を抱えながら、持続可能なまちづくりの実現に向け、まずは、新年度の事業を確実に進めていくことが求められています。
厳しい社会情勢下ではありますが、いつまでもそんなことは言っていられないと考えます。
日本においては、未だ、景気が停滞しており(原油価格高騰によるコストアップインフレの現象は見られますが)、貨幣の価値が継続的に上昇し、人々はモノよりもお金を欲し、貯め込み、企業であれば、投資を控え、内部留保を含め貯蓄を増やすといった状態が続いているのではないか、と思います。
これまで、新型コロナ対策として、特別定額給付金が交付されましたが、昨年11月、ニッセイ基礎研究所は「特別定額給付金」の使途に関する調査結果を公表しました。子育て世帯では「生活費の補填」(58.5%)、「貯蓄」(33.4%)、「育児や保育関連」(17.9%)、「子どもの教育」(11.2%)が上位を占めていることから、低成長下で賃金が上がらない、少子高齢化が進む中で将来の経済不安が強い等といった現実が如実に表されており、貯蓄へ充てるといった行動は経済合理的であるといえます。しかし、個々の合理的な行動は、経済全体でみると需要の縮小を招きます。ミクロの視点での正しい行動も、その行動を集計したマクロの世界では反対の結果、つまり、デフレをもたらすことに繋がります。合成の誤謬です。政府はデフレにならず、また、過度なインフレを招かないような経済財政運営をしなければなりません。
昨年の秋、長野市は、令和4年度予算編成の基本的な考え方として「公共サービス提供に対するコスト意識を持ちながら歳入・歳出両面から徹底した事業の精査を行う必要がある。政策効果が乏しい歳出を徹底して削減し、政策効果の高い歳出への転換を徹底する。また、業務の合理化など、行政のスリム化・効率化も進め、財政調整基金の繰入や資金手当のための市債発行に安易に頼ることのない健全財政の維持を前提とする」と示しました。
確かに、健全財政の維持は大事なことであり、事業の精査も必要なことです。しかし、景気停滞の下にあって将来の経済不安等といった不透明な社会や未来に対し、多くの人々が「閉塞感」を感じている現状から抜け出すための行財政運営が必要だと考えます。よって、行政が健全財政を重視しすぎて、財政上の理由で、市民からの財政需要に応えられない状況が続くことは、市民の幸福度向上には繋がらず、また、長野市経済の成長を鈍らせる原因となり得ます。
そこで、改めて、市債発行について考えていく必要があるのではないか、と思います。
長野市は、令和4年度の市債発行額を前年度比12.5億円(9%)増の138.4億円としています。その中身について額の大きなものを幾つかあげると、道路橋りょう整備事業費19億5,330万円、小学校施設整備事業費14億3,470万円等です。総務省は地方債について、原則として投資的経費(建設事業関係の経費)の一定部分に充てられる、としており、長野市においても概ね原則に則ています。しかし、額が最も大きいのは、臨時財政対策債60億1,800万円で、この市債(臨時財政対策債)は、他の市債とは性質が異なっています。
総務省的に言うと、臨時財政対策債は、地方財政収支の不足額を補てんするため、各地方公共団体が特例として発行してきた地方債で、その元利償還金相当額全額を後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入され、財政運営に支障が生ずることのないよう措置されているものです。
関単に言うと、国が地方交付税として交付するべき額に満たない分を地方公共団体が自ら地方債を発行することで補填し、後年、国が100%面倒を見る、とうものです。
よって、長野市の令和4年度における市債発行額の約43%である臨時財政対策債は、市債であって市債でないとも言えます。また、長野市は、令和3年度末の市債残高を1、513億円と見込んでいますが、このうち73.7%が今後、地方交付税措置されるとしています。更に、臨時財政対策債の発行額について、令和元年までの10年間の臨時財政対策債が市債全体に占める割合は、の平均43.98%となります。(臨時財政対策債発行については限度額が設けられており、これまで長野市は、概ね、限度額100%の市債を発行している)
つまり、投資的経費に充てられているのは市債全体の約56%となり、この数値が妥当なのか議論していかなければならないと考えます。市民生活の利便性向上加え、例えば、公共事業の増加による民間需要の高まりで景気の停滞感からの解放に繋がる可能性があります。
平成19年に、地方自治体の財政破綻を未然に防止し、財政の早期健全化を促すことを目的に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法」が制定されました。以降、地方公共団体は、①実質赤字比率 ②連結実質赤字比率 ③実質公債費比率 ④将来負担比率、を毎年度、監査委員の審査に付した上で、議会に報告し、公表しなければならないようになりました。
そして、①~④について基準を上回った場合(イエローライン、レッドライン)、地方債の起債ができない等の制限が伴い、行財政運営に支障をきたし、市民生活への影響に繋がります。長野市は4つの指標を意識しながらの行財政運営が求められています。
令和2年度をみると長野の4つの指標は、いずれも基準を大きく下回っており、特に、市債と密接に関係ある実質公債費比率はイエローライン25%、レッドライン35%に対し3.6%、将来負担比率はイエローライン350%に対し42.8%と、これまでの堅実な財政運営の成果だと思いますが、市民からの財政需要に十分応えきれない状況を受け止め、市債の活用について、これまでの踏襲、常識にとらわれることなく検討していくべきだと考えます。
長野市は財政健全化を重視しすぎず、4つの指標を上回ることがないような行財政運営により、域内の経済成長率を高めていかなければなりません。
厳しい社会情勢下ではありますが、いつまでもそんなことは言っていられないと考えます。
日本においては、未だ、景気が停滞しており(原油価格高騰によるコストアップインフレの現象は見られますが)、貨幣の価値が継続的に上昇し、人々はモノよりもお金を欲し、貯め込み、企業であれば、投資を控え、内部留保を含め貯蓄を増やすといった状態が続いているのではないか、と思います。
これまで、新型コロナ対策として、特別定額給付金が交付されましたが、昨年11月、ニッセイ基礎研究所は「特別定額給付金」の使途に関する調査結果を公表しました。子育て世帯では「生活費の補填」(58.5%)、「貯蓄」(33.4%)、「育児や保育関連」(17.9%)、「子どもの教育」(11.2%)が上位を占めていることから、低成長下で賃金が上がらない、少子高齢化が進む中で将来の経済不安が強い等といった現実が如実に表されており、貯蓄へ充てるといった行動は経済合理的であるといえます。しかし、個々の合理的な行動は、経済全体でみると需要の縮小を招きます。ミクロの視点での正しい行動も、その行動を集計したマクロの世界では反対の結果、つまり、デフレをもたらすことに繋がります。合成の誤謬です。政府はデフレにならず、また、過度なインフレを招かないような経済財政運営をしなければなりません。
昨年の秋、長野市は、令和4年度予算編成の基本的な考え方として「公共サービス提供に対するコスト意識を持ちながら歳入・歳出両面から徹底した事業の精査を行う必要がある。政策効果が乏しい歳出を徹底して削減し、政策効果の高い歳出への転換を徹底する。また、業務の合理化など、行政のスリム化・効率化も進め、財政調整基金の繰入や資金手当のための市債発行に安易に頼ることのない健全財政の維持を前提とする」と示しました。
確かに、健全財政の維持は大事なことであり、事業の精査も必要なことです。しかし、景気停滞の下にあって将来の経済不安等といった不透明な社会や未来に対し、多くの人々が「閉塞感」を感じている現状から抜け出すための行財政運営が必要だと考えます。よって、行政が健全財政を重視しすぎて、財政上の理由で、市民からの財政需要に応えられない状況が続くことは、市民の幸福度向上には繋がらず、また、長野市経済の成長を鈍らせる原因となり得ます。
そこで、改めて、市債発行について考えていく必要があるのではないか、と思います。
長野市は、令和4年度の市債発行額を前年度比12.5億円(9%)増の138.4億円としています。その中身について額の大きなものを幾つかあげると、道路橋りょう整備事業費19億5,330万円、小学校施設整備事業費14億3,470万円等です。総務省は地方債について、原則として投資的経費(建設事業関係の経費)の一定部分に充てられる、としており、長野市においても概ね原則に則ています。しかし、額が最も大きいのは、臨時財政対策債60億1,800万円で、この市債(臨時財政対策債)は、他の市債とは性質が異なっています。
総務省的に言うと、臨時財政対策債は、地方財政収支の不足額を補てんするため、各地方公共団体が特例として発行してきた地方債で、その元利償還金相当額全額を後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入され、財政運営に支障が生ずることのないよう措置されているものです。
関単に言うと、国が地方交付税として交付するべき額に満たない分を地方公共団体が自ら地方債を発行することで補填し、後年、国が100%面倒を見る、とうものです。
よって、長野市の令和4年度における市債発行額の約43%である臨時財政対策債は、市債であって市債でないとも言えます。また、長野市は、令和3年度末の市債残高を1、513億円と見込んでいますが、このうち73.7%が今後、地方交付税措置されるとしています。更に、臨時財政対策債の発行額について、令和元年までの10年間の臨時財政対策債が市債全体に占める割合は、の平均43.98%となります。(臨時財政対策債発行については限度額が設けられており、これまで長野市は、概ね、限度額100%の市債を発行している)
つまり、投資的経費に充てられているのは市債全体の約56%となり、この数値が妥当なのか議論していかなければならないと考えます。市民生活の利便性向上加え、例えば、公共事業の増加による民間需要の高まりで景気の停滞感からの解放に繋がる可能性があります。
平成19年に、地方自治体の財政破綻を未然に防止し、財政の早期健全化を促すことを目的に「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法」が制定されました。以降、地方公共団体は、①実質赤字比率 ②連結実質赤字比率 ③実質公債費比率 ④将来負担比率、を毎年度、監査委員の審査に付した上で、議会に報告し、公表しなければならないようになりました。
そして、①~④について基準を上回った場合(イエローライン、レッドライン)、地方債の起債ができない等の制限が伴い、行財政運営に支障をきたし、市民生活への影響に繋がります。長野市は4つの指標を意識しながらの行財政運営が求められています。
令和2年度をみると長野の4つの指標は、いずれも基準を大きく下回っており、特に、市債と密接に関係ある実質公債費比率はイエローライン25%、レッドライン35%に対し3.6%、将来負担比率はイエローライン350%に対し42.8%と、これまでの堅実な財政運営の成果だと思いますが、市民からの財政需要に十分応えきれない状況を受け止め、市債の活用について、これまでの踏襲、常識にとらわれることなく検討していくべきだと考えます。
長野市は財政健全化を重視しすぎず、4つの指標を上回ることがないような行財政運営により、域内の経済成長率を高めていかなければなりません。