行政視察に行ってまいりました。
2024年05月24日
鈴木洋一 at 09:22 | 活動
今週前半、長野市議会総務委員会による行政視察に行ってまいりましたので、内容についてご報告いたします。
令和6年5月20日(月)東京都墨田区
「墨田区シティプロモーション戦略プラン」について
<特長>
墨田区は第1期広報広聴戦略プランを策定し、平成28年4月から令和4年3月まで第1期のシティプロモーションに関する取り組みを進め、令和4年4月から第2期プランに基づき、現在、取り組みを進めている。
平成27年に就任した新区長による積極的な取り組みにより、シティプロモーションが重要事項と位置付けられ、更に、平成31年に開催された外部委員を含めた有識者会議において、第1期で掲げた目標「暮らし続けたいまち、働き続けたいまち、訪れたいまち」等といった一般論に基づいた考え方から、「区民、また、区職員が自分たちのまちに自信と誇りを持ち、発信していく」という“地域力日本一“を目指す、ことを目標に捉える方向へと転換が行われ、今日に至っている。
地域力日本一を目指す上で、「シビックプライドとスタッフプライドの醸成」の強化が図られており、シビックプライドの醸成では、フォトコンテスト、千葉大学写真部との連携、伝え合いラボ、中学生議会の事業に加え、墨田区の良さを区民自身が認識し、情報発信していくことに力点が置かれ、スッタフプライドの醸成では、庁内において、SNSやチラシ、動画の作成等の研修を重ね、職員全員で広報できる組織体制を構築している。
<所感>
第2期に掲げた方針、目標の背景には、平成27年度比で人口が1.6万人増、また、東京スカイツリーや国技館、また、大花火大会等、定住人口のみならず観光客数の増加等、従来から墨田区が持っている強みを認識するとともに、これからのまちづくりに必要なことを正確に捉えていることに他ならない、と推察する。
このような強みを認識しているからこそ、シティプロモーションを進めていく上で、現在の課題や明確な目標、つまり、自分たちが住んでいるまちに一人一人が誇りと自信を持つことの重要性を共有することで、具体的な施策の展開が図られていると受け止めた。
シティプロモーションや都市ブランディング等、言葉だけが独り歩きする形式的な取り組みではなく、重視すべき点は、住民が自信と誇りを持つことによって、持続可能なまちづくりに貢献できる取り組みを進めていくことだ、再認識した。
令和6年5月21日(火)茨城県つくば市
つくばスマートシティ協議会「新たな投票方法導入の取り組み」について
<特長>
つくば市は、2022年4月、「スーパーシティ型国家戦略特別区域」に指定された。スーパーシティやスマートシティには「未来をつくる」、「地域の課題解決」の2つの軸とされているが、同市は後者の視点から出発し、各種施策を展開している。
課題として「都市と郊外の二極化」、「多文化共生の不備」、「都市力の低下」、「市民と科学技術の乖離」の4つをあげ、それぞれの問題にアプローチし、解決を図るため6つの分野として、「移動・物流」、「行政」、「医療」、「防災・インフラ」、「デジタルツイン・まちづくり」、「オープンハブ」と整理し、社会実装、実験及び検証を重ね、課題の解消に向け取り組んでいる。
先述のように、つくば市の特長は、より地域社会や住民の近くにある技術の実験を通し問題にアプローチしていくことにあり、地域の課題解決として捉えられている項目の一つとして「インターネット投票」があり、投票に関する課題、「投票に行きたくても行けない人達に向けた対策」として、明確に位置付けている。
これまで、マイナンバーカードを活用した技術検証を重ね、2022年に14、000人規模の模擬住民投票を実施した。本人確認含めセキュリティー上の課題、公正性と信頼性の向上、新たな課題等への対策を含め、投票機会の確保への取り組みを進めている。
しかし、現行法で定められている「自ら投票所に行く」、「投票用紙への自書による投票」、「投票管理者および投票立会人の設置」といった規制により、インターネット投票の実現が適わない状況であるが、つくば市は、法改正の必要性と、直ぐに実行できる体制の構築を進めている。
こうした現実的な問題はあるものの、投票に行きたくても行けない人たちの投票機会の確保への取り組みとして「オンデマンド型移動期日前投票所」実施に向け準備中。2024年1月23日から27日、つくば市内の2地域で18歳以上862人を対象に、「自宅巡回投票所」及び「移動投票所送迎」を試行した。本年秋に予定されている市長・市議会議員選挙時には、オンデマンド型移動期日前投票所の運用により、移動困難者や障害者等がより投票しやすい環境をつくり、つくば市が直面している課題の解消に向けた準備を進めている。
<所感>
スーパーシティへの取り組みについて、地域課題解決を軸に進めている点は評価したい。また、この視点が重要なことだと再認識するに至った。特に「移動・物流」については、つくば市のインターネット投票やオンデマンド型移動期日前投票所はその一つであるとともに、例えば、高齢者等が直面している買物や通院等といった日常生活を送る上で必要となる移動手段の確保への対応等について、本市が我がごととして、つくば市の取り組みを検証、また、参考としていく必要がある。
インターネット投票の実施には法改正等の必要性から困難な側面がある一方で、オンデマンド型投票により投票機会を確保するために、課題を明確化し、運用に向け取り組んでいる姿勢は、地域課題に真摯に向き合いながら、施策を展開している表れであると受け止めた。
令和6年5月22日(水)千葉県松戸市
ちば北西部消防指令センター 消防通信指令業務の共同運用について
<特長>
消防通信指令業務の共同運用について、令和3年2月より松戸市を含め10市、管轄人口は256万人にて運用が始まった。
平成17年9月、消防庁次官通知により、県が主導した形で協議会が設立され、平成20年に千葉県内を2つのブロック(千葉市グループ、松戸市グループ)に分け整備することとなった。
平成23年4月、松戸市を含む北西部の6市による新たな協議会が設立され、平成25年、6市での共同運用が始まるとともに、第2期整備に向けた調査研究が始まった。平成27年、共同運用の計画書が示され、平成32年(令和2年)度に北西部10市での共同運用を目指す方向性が示された。令和元年、共同整備に関する業者との契約が締結され、また、令和2年度、共同運用に参画する各市消防本部での個別整備に関する契約が締結され、令和3年2月、10市による通信指令業務の共同運用が始まり、今日に至っている。
共同運用は、松戸市が代表自治体となりNEC製の設備を10年間のリース契約を結んでおり、また、各消防本部での設備においてもNEC製を利用している。ちなみに、各消防本部における個別整備とは、車両内のモニター等の通信システム、庁舎内の通信システム等であり、保守点検などにおいて、迅速な対応が可能となっている。
共同運用に関する予算は23億円で、松戸市に対し、他9市は負担金として松戸市に対し支出している。負担割合は人口割90%、均等割10%で、個別整備については各市100%負担する取り決めとなっている。
共同運用によりメリットとして、小規模の通信システム10基を各々で運用するより、大規模なシステム1基での運用の方が10市全体への貢献度が高く、コストの抑制や職員の適正配置等、各消防本部、それぞれの相乗効果として表れている。
他方、デメリットとして、各消防本部からの派遣職員により構成されていることから、各消防本部での人事異動等の配置換えにより、安定した業務の継続等の課題がある。しかし、研修制度等を充実させることで、業務に影響が及ばないよう取り組みを進めている。
<所感>
10市での共同運用までの経緯について、消防本部同士の調整等において困難な面もあったようだが、概ね順調に今日に至っているものと受け止めた。共同運用による最大のメリットは、上述のように、10年間のリース契約により、整備費、維持管理費等の費用について、各消防本部が独自で運用した場合と比べ、30%ほどの削減効果を推定している、とのことに加え、適正な職員配置が可能となるなど、市民の安全安心への貢献は大きなものであると考える。
現在、長野市と須坂市での通信指令業務の共同運用に向け、準備が進められているが、ちば北西部消防指令センターの通信指令業務の共同運用の状況から、経費の面に加え、職員の適正配置が、より市民の安全安心に繋がるものとなること、更に、長野及び須坂の両市消防本部の業務力向上に資する取り組みに向け、期待を持つに至ったものとなった。
以上です。人口減少や少子高齢化の進展により、各地方自治体では様々な課題に直面し、また、今後、更なる課題を抱えることが考えられます。今回の視察を通して、改めて感じたことは、将来のため、という概念も必要ですが、将来のために、今、日常生活を送っている市民等が、今の生活や住んでいる地域、自治体に愛着や誇り、自信を持つことが重要なことだと思います。例えば、将来のために、ということで、今を生きる人たちに悪影響を及ぼすことが、本当に将来のためになるのか、また、今満足できない、期待していない状況で、愛着や自信、誇りを持つことができるだろうか、と考えます。将来を見据えるうえで大事なのは、墨田区ではありませんが、シビックプライドの醸成に繋がるような環境整備が必要だと思います。
令和6年5月20日(月)東京都墨田区
「墨田区シティプロモーション戦略プラン」について
<特長>
墨田区は第1期広報広聴戦略プランを策定し、平成28年4月から令和4年3月まで第1期のシティプロモーションに関する取り組みを進め、令和4年4月から第2期プランに基づき、現在、取り組みを進めている。
平成27年に就任した新区長による積極的な取り組みにより、シティプロモーションが重要事項と位置付けられ、更に、平成31年に開催された外部委員を含めた有識者会議において、第1期で掲げた目標「暮らし続けたいまち、働き続けたいまち、訪れたいまち」等といった一般論に基づいた考え方から、「区民、また、区職員が自分たちのまちに自信と誇りを持ち、発信していく」という“地域力日本一“を目指す、ことを目標に捉える方向へと転換が行われ、今日に至っている。
地域力日本一を目指す上で、「シビックプライドとスタッフプライドの醸成」の強化が図られており、シビックプライドの醸成では、フォトコンテスト、千葉大学写真部との連携、伝え合いラボ、中学生議会の事業に加え、墨田区の良さを区民自身が認識し、情報発信していくことに力点が置かれ、スッタフプライドの醸成では、庁内において、SNSやチラシ、動画の作成等の研修を重ね、職員全員で広報できる組織体制を構築している。
<所感>
第2期に掲げた方針、目標の背景には、平成27年度比で人口が1.6万人増、また、東京スカイツリーや国技館、また、大花火大会等、定住人口のみならず観光客数の増加等、従来から墨田区が持っている強みを認識するとともに、これからのまちづくりに必要なことを正確に捉えていることに他ならない、と推察する。
このような強みを認識しているからこそ、シティプロモーションを進めていく上で、現在の課題や明確な目標、つまり、自分たちが住んでいるまちに一人一人が誇りと自信を持つことの重要性を共有することで、具体的な施策の展開が図られていると受け止めた。
シティプロモーションや都市ブランディング等、言葉だけが独り歩きする形式的な取り組みではなく、重視すべき点は、住民が自信と誇りを持つことによって、持続可能なまちづくりに貢献できる取り組みを進めていくことだ、再認識した。
令和6年5月21日(火)茨城県つくば市
つくばスマートシティ協議会「新たな投票方法導入の取り組み」について
<特長>
つくば市は、2022年4月、「スーパーシティ型国家戦略特別区域」に指定された。スーパーシティやスマートシティには「未来をつくる」、「地域の課題解決」の2つの軸とされているが、同市は後者の視点から出発し、各種施策を展開している。
課題として「都市と郊外の二極化」、「多文化共生の不備」、「都市力の低下」、「市民と科学技術の乖離」の4つをあげ、それぞれの問題にアプローチし、解決を図るため6つの分野として、「移動・物流」、「行政」、「医療」、「防災・インフラ」、「デジタルツイン・まちづくり」、「オープンハブ」と整理し、社会実装、実験及び検証を重ね、課題の解消に向け取り組んでいる。
先述のように、つくば市の特長は、より地域社会や住民の近くにある技術の実験を通し問題にアプローチしていくことにあり、地域の課題解決として捉えられている項目の一つとして「インターネット投票」があり、投票に関する課題、「投票に行きたくても行けない人達に向けた対策」として、明確に位置付けている。
これまで、マイナンバーカードを活用した技術検証を重ね、2022年に14、000人規模の模擬住民投票を実施した。本人確認含めセキュリティー上の課題、公正性と信頼性の向上、新たな課題等への対策を含め、投票機会の確保への取り組みを進めている。
しかし、現行法で定められている「自ら投票所に行く」、「投票用紙への自書による投票」、「投票管理者および投票立会人の設置」といった規制により、インターネット投票の実現が適わない状況であるが、つくば市は、法改正の必要性と、直ぐに実行できる体制の構築を進めている。
こうした現実的な問題はあるものの、投票に行きたくても行けない人たちの投票機会の確保への取り組みとして「オンデマンド型移動期日前投票所」実施に向け準備中。2024年1月23日から27日、つくば市内の2地域で18歳以上862人を対象に、「自宅巡回投票所」及び「移動投票所送迎」を試行した。本年秋に予定されている市長・市議会議員選挙時には、オンデマンド型移動期日前投票所の運用により、移動困難者や障害者等がより投票しやすい環境をつくり、つくば市が直面している課題の解消に向けた準備を進めている。
<所感>
スーパーシティへの取り組みについて、地域課題解決を軸に進めている点は評価したい。また、この視点が重要なことだと再認識するに至った。特に「移動・物流」については、つくば市のインターネット投票やオンデマンド型移動期日前投票所はその一つであるとともに、例えば、高齢者等が直面している買物や通院等といった日常生活を送る上で必要となる移動手段の確保への対応等について、本市が我がごととして、つくば市の取り組みを検証、また、参考としていく必要がある。
インターネット投票の実施には法改正等の必要性から困難な側面がある一方で、オンデマンド型投票により投票機会を確保するために、課題を明確化し、運用に向け取り組んでいる姿勢は、地域課題に真摯に向き合いながら、施策を展開している表れであると受け止めた。
令和6年5月22日(水)千葉県松戸市
ちば北西部消防指令センター 消防通信指令業務の共同運用について
<特長>
消防通信指令業務の共同運用について、令和3年2月より松戸市を含め10市、管轄人口は256万人にて運用が始まった。
平成17年9月、消防庁次官通知により、県が主導した形で協議会が設立され、平成20年に千葉県内を2つのブロック(千葉市グループ、松戸市グループ)に分け整備することとなった。
平成23年4月、松戸市を含む北西部の6市による新たな協議会が設立され、平成25年、6市での共同運用が始まるとともに、第2期整備に向けた調査研究が始まった。平成27年、共同運用の計画書が示され、平成32年(令和2年)度に北西部10市での共同運用を目指す方向性が示された。令和元年、共同整備に関する業者との契約が締結され、また、令和2年度、共同運用に参画する各市消防本部での個別整備に関する契約が締結され、令和3年2月、10市による通信指令業務の共同運用が始まり、今日に至っている。
共同運用は、松戸市が代表自治体となりNEC製の設備を10年間のリース契約を結んでおり、また、各消防本部での設備においてもNEC製を利用している。ちなみに、各消防本部における個別整備とは、車両内のモニター等の通信システム、庁舎内の通信システム等であり、保守点検などにおいて、迅速な対応が可能となっている。
共同運用に関する予算は23億円で、松戸市に対し、他9市は負担金として松戸市に対し支出している。負担割合は人口割90%、均等割10%で、個別整備については各市100%負担する取り決めとなっている。
共同運用によりメリットとして、小規模の通信システム10基を各々で運用するより、大規模なシステム1基での運用の方が10市全体への貢献度が高く、コストの抑制や職員の適正配置等、各消防本部、それぞれの相乗効果として表れている。
他方、デメリットとして、各消防本部からの派遣職員により構成されていることから、各消防本部での人事異動等の配置換えにより、安定した業務の継続等の課題がある。しかし、研修制度等を充実させることで、業務に影響が及ばないよう取り組みを進めている。
<所感>
10市での共同運用までの経緯について、消防本部同士の調整等において困難な面もあったようだが、概ね順調に今日に至っているものと受け止めた。共同運用による最大のメリットは、上述のように、10年間のリース契約により、整備費、維持管理費等の費用について、各消防本部が独自で運用した場合と比べ、30%ほどの削減効果を推定している、とのことに加え、適正な職員配置が可能となるなど、市民の安全安心への貢献は大きなものであると考える。
現在、長野市と須坂市での通信指令業務の共同運用に向け、準備が進められているが、ちば北西部消防指令センターの通信指令業務の共同運用の状況から、経費の面に加え、職員の適正配置が、より市民の安全安心に繋がるものとなること、更に、長野及び須坂の両市消防本部の業務力向上に資する取り組みに向け、期待を持つに至ったものとなった。
以上です。人口減少や少子高齢化の進展により、各地方自治体では様々な課題に直面し、また、今後、更なる課題を抱えることが考えられます。今回の視察を通して、改めて感じたことは、将来のため、という概念も必要ですが、将来のために、今、日常生活を送っている市民等が、今の生活や住んでいる地域、自治体に愛着や誇り、自信を持つことが重要なことだと思います。例えば、将来のために、ということで、今を生きる人たちに悪影響を及ぼすことが、本当に将来のためになるのか、また、今満足できない、期待していない状況で、愛着や自信、誇りを持つことができるだろうか、と考えます。将来を見据えるうえで大事なのは、墨田区ではありませんが、シビックプライドの醸成に繋がるような環境整備が必要だと思います。