財政推計と新年度予算編成方針
2020年10月10日
鈴木洋一 at 10:12 | 活動
<長野市の財政推計>
私は、平成30年12月定例会一般質問で「本市予算編成方針の、従来にも増して計画的かつ堅実な財政運営が求められるという現状認識に基づき、本市における人口減少と高齢化を試算の前提に反映するとともに、国の動向等についても幾つかの前提を置きながら中期的な財政計画を策定し、公表すべきではないか。これから俎上にのぼると思われる行政運営の効率化や合理化の取組に理解をいただくためには、市民と行政が今後の本市財政状況を共有することが大切ではないか」と取り上げ、長野市は昨年度より、5年間の中期的な財政推計を策定することとなりました。
今回策定されたのは、令和元年度一般会計の決算額をベースに令和2年度以降5年間に推計値を算出したものです。
これにより、私は、議員として今後の財政見通しについて、市民と共有し、効率的な行政運営や行政改革をはじめとした今後の市政運営にご理解をいただきながら、様々な課題解決に取り組んでいくことが必要だと考えます。
令和3年度における財政推計について、令和元年と2年度の推計結果を比較してみると、単年度の状況により大きく変化が生じてくることが分かります。
<推計結果と今後の課題は>
(1)市税について
人口減少等に伴う減収に加え、新型コロナウイルス感染症による市内経済への影響により更なる減収を見込む!!
主な要因は、上図のとおりですが、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいことがわかります。令和元年と比較し、令和2~3年度の2年間の累積で国補の補填を見越しても約25億円の減収が見込まれるとされています。ただ、令和4年度以降は経済対策の効果により税収の回復が見込まれております。
(2)東日本台風災害からの復旧・復興
農業施設復旧、災害廃棄物撤去、住宅環境の整備等の実施により、令和元年度153億円、令和2年度261億円の事業費を見込んでいます。来年度以降も復興への道筋に伴う支出を見込むとともに市債の新規発行により、市債残高の大幅な増加が予想されます。長野市は安易な市債発行に頼ることなく事業を推進していくとしておりますが、それらの償還が令和5年度から本格化し、今後、単年度収支の悪化の要因となることが予想されます。
(ちなみに、令和6年度の義務的経費である公債費は、令和元年度と比較し11億円増を見込んでいます。地方税、地方交付税、譲与税・交付金などの経常的な一般財源が、どの程度経常的な経費に充てられているかを示す指数である経常収支比率の悪化にも繋がり、財政構造の硬直化がより進む可能性があると推察します)
(3)財政調整基金等3基金残高の大幅減
上述のとおり、市税の大幅な減収と扶助費の増加や東日本台風からの復旧・復興等、各事業費の増加と、それに伴う市債の借入に対する償還(公債費)の増加が見込まれることから、財源不足が生じ、財政調整等3基金の取り崩し額が増加し、基金残高が大幅に減少すると推計されています。令和3年度の基金残高推計は、令和元年推計と2年推計で31億円の差異が生じています。
私は、財政調整基金が果たす役割は重要であるという観点から、平成29年12月定例会一般質問で「経常一般財源総額の減少傾向が続く厳しい財政状況下での財政調整基金の在り方について、財政調整基金の目標額をどの水準に置いているのか。また、積立てにおける独自基準を設けているのか。更に厳しい財政状況下においては、交付税の増額効果ではなく、無駄な歳出を削って発生した剰余金を原資とすべきであり、適正な基金積立てのための財源をどう確保していくのか」、と取り上げました。
特に、財政調整金は年度間の財政調整を行うことを目的として設けられていることから、予想外に税収が落ち込んだ場合や甚大な災害による復旧費用等に対処するため、不測の事態に備え基金であることから造成しておくことは重要なことであります。
<令和3年度予算編成方針>
長野市は喫緊の課題を抱えながら、厳しい財政状況下において行財政運営を進めていくこととなります。
新年度(令和3年度)予算編成方針は、市民の安全で健康な暮らしを守る事業を進めると共に、地域産業を牽引する企業の育成・支援等、市域経済の活性化に向けた事業を積極的に推進していく、としています。
一方、財源の不足による事業の停滞が懸念されることもあり、「スクラップ・アンド・ビルド」、「選択と集中」の徹底によりメリハリのある予算と、ICT化、業務の合理化等、行政のスリム化・効率化を進め、安易な市債発行に頼ることなく「健全財政の堅持」を予算編成の基本姿勢として、歳入の確保と歳出の削減に取り組んでいく、としています。
私が所属している会派『改革ながの市民ネット』は、11月初旬に市長に対し、新年度予算要望書を提出します。現在、会派内において議論を行っておりますが、厳しい財政状況下であることと、長野市が示している予算編成方針を踏まえつつ、市民の安全・安心に着実に繋がるよう、実効性の高い内容とすべく、私も会派の政調会長として取りまとめていきたいと思います。
私は、平成30年12月定例会一般質問で「本市予算編成方針の、従来にも増して計画的かつ堅実な財政運営が求められるという現状認識に基づき、本市における人口減少と高齢化を試算の前提に反映するとともに、国の動向等についても幾つかの前提を置きながら中期的な財政計画を策定し、公表すべきではないか。これから俎上にのぼると思われる行政運営の効率化や合理化の取組に理解をいただくためには、市民と行政が今後の本市財政状況を共有することが大切ではないか」と取り上げ、長野市は昨年度より、5年間の中期的な財政推計を策定することとなりました。
今回策定されたのは、令和元年度一般会計の決算額をベースに令和2年度以降5年間に推計値を算出したものです。
これにより、私は、議員として今後の財政見通しについて、市民と共有し、効率的な行政運営や行政改革をはじめとした今後の市政運営にご理解をいただきながら、様々な課題解決に取り組んでいくことが必要だと考えます。
令和3年度における財政推計について、令和元年と2年度の推計結果を比較してみると、単年度の状況により大きく変化が生じてくることが分かります。
<推計結果と今後の課題は>
(1)市税について
人口減少等に伴う減収に加え、新型コロナウイルス感染症による市内経済への影響により更なる減収を見込む!!
主な要因は、上図のとおりですが、新型コロナウイルス感染症の影響が大きいことがわかります。令和元年と比較し、令和2~3年度の2年間の累積で国補の補填を見越しても約25億円の減収が見込まれるとされています。ただ、令和4年度以降は経済対策の効果により税収の回復が見込まれております。
(2)東日本台風災害からの復旧・復興
農業施設復旧、災害廃棄物撤去、住宅環境の整備等の実施により、令和元年度153億円、令和2年度261億円の事業費を見込んでいます。来年度以降も復興への道筋に伴う支出を見込むとともに市債の新規発行により、市債残高の大幅な増加が予想されます。長野市は安易な市債発行に頼ることなく事業を推進していくとしておりますが、それらの償還が令和5年度から本格化し、今後、単年度収支の悪化の要因となることが予想されます。
(ちなみに、令和6年度の義務的経費である公債費は、令和元年度と比較し11億円増を見込んでいます。地方税、地方交付税、譲与税・交付金などの経常的な一般財源が、どの程度経常的な経費に充てられているかを示す指数である経常収支比率の悪化にも繋がり、財政構造の硬直化がより進む可能性があると推察します)
(3)財政調整基金等3基金残高の大幅減
上述のとおり、市税の大幅な減収と扶助費の増加や東日本台風からの復旧・復興等、各事業費の増加と、それに伴う市債の借入に対する償還(公債費)の増加が見込まれることから、財源不足が生じ、財政調整等3基金の取り崩し額が増加し、基金残高が大幅に減少すると推計されています。令和3年度の基金残高推計は、令和元年推計と2年推計で31億円の差異が生じています。
私は、財政調整基金が果たす役割は重要であるという観点から、平成29年12月定例会一般質問で「経常一般財源総額の減少傾向が続く厳しい財政状況下での財政調整基金の在り方について、財政調整基金の目標額をどの水準に置いているのか。また、積立てにおける独自基準を設けているのか。更に厳しい財政状況下においては、交付税の増額効果ではなく、無駄な歳出を削って発生した剰余金を原資とすべきであり、適正な基金積立てのための財源をどう確保していくのか」、と取り上げました。
特に、財政調整金は年度間の財政調整を行うことを目的として設けられていることから、予想外に税収が落ち込んだ場合や甚大な災害による復旧費用等に対処するため、不測の事態に備え基金であることから造成しておくことは重要なことであります。
<令和3年度予算編成方針>
長野市は喫緊の課題を抱えながら、厳しい財政状況下において行財政運営を進めていくこととなります。
新年度(令和3年度)予算編成方針は、市民の安全で健康な暮らしを守る事業を進めると共に、地域産業を牽引する企業の育成・支援等、市域経済の活性化に向けた事業を積極的に推進していく、としています。
一方、財源の不足による事業の停滞が懸念されることもあり、「スクラップ・アンド・ビルド」、「選択と集中」の徹底によりメリハリのある予算と、ICT化、業務の合理化等、行政のスリム化・効率化を進め、安易な市債発行に頼ることなく「健全財政の堅持」を予算編成の基本姿勢として、歳入の確保と歳出の削減に取り組んでいく、としています。
私が所属している会派『改革ながの市民ネット』は、11月初旬に市長に対し、新年度予算要望書を提出します。現在、会派内において議論を行っておりますが、厳しい財政状況下であることと、長野市が示している予算編成方針を踏まえつつ、市民の安全・安心に着実に繋がるよう、実効性の高い内容とすべく、私も会派の政調会長として取りまとめていきたいと思います。