長野市の人口増減は ~何が必要なのか、人口減少対策~
2019年04月11日
鈴木洋一 at 08:53 | 活動
<真摯に受け止めなければならない投票率>
地域社会が直面する、人口減少や大規模な自然災害の発生、地方財政の硬直化等、喫緊の課題に対応するためには、行政と議会、議員が果たす役割は益々高まっております。しかしながら、先の県議会議員選挙の投票率は、長野市で40.36%(上水内含めても41.39%)と過去最低となったことは、大変残念なことでありました。それぞれの候補者の主張を有権者に十分に届けることが出来たのか、関心を高める取り組みが出来たのか等、私自身も真摯に受け止め、考えなければならないと思います。
<人口減少と社会減(転出人口増)の長野市>
日本の地方都市はいずれも、少子超高齢化や人口減少、東京圏への一極集中という大きな課題に直面しておりますが、長野市も同様であり、国立社会保障・人口問題研究所によれば、現在の約37万人の人口が、2030年に約33万人、2040年で約30万人に減少するとの予測が出されております。しかし、いかなる時代であっても、長野市は、住みやすい、住みたい、住み続けたい、と感じてもらえる都市であり続けなければなりません。そして、そうした方向に向けてまちづくりを進めていくことが、行政及び議会、議員の責務であると思います。
長野県が1月末に公表した昨年末の県内の人口は、2,061,053人と前年度と比べ12,116人減少しましたが、社会増減(転入から転出の差)では2年連続して、わずかですが、転入者が転出者を上回る社会増(転入超過230人)となりました。一方、長野市の人口は、前年度から2,475人減少し、371,020人となり、更に、直近9年間の社会増減についてみてみると、平成27年を除いて、ほぼ毎年、転出者が転入者を上回る社会減(転出超過)が続いています。昨年は604人の転出超過となりました。そこで、社会増減の推移を年齢(5歳階級)別に見てみると、15歳から24歳の階級で平成28年が459人、平成29年は353人、平成30年では301人の社会減(転出超過)となっており、この階級では、大学等への進学や就職による移動が多いことから、今後もこの傾向が続くのではないかと思います。
一方、平成30年4月には長野県立大学開学、平成31年4月に長野保健医療大学と清泉女学院大学にそれぞれ看護学部が開設されたことにより、長野市の18歳人口に対する大学の収容率は28%から39.7%に上昇しました。看護師や保健師といった国家資格や専門知識の習得の場が広がったことは、将来に向けて長野市の強みになるのではないかと思います。しかしながら、進学を目指す方々のニーズに100%応えることは出来ませんから、15歳から24歳の階級における東京圏への転出は、今後も続くものと考えなければなりません。
<『カムバックtoながの』事業の充実が必要>
長野市は『カムバックtoながの』を合言葉に、「長野市に戻って働きたい」、「長野市に住みたい」、「やっぱり長野市に帰ってきて良かった」、と思っていただけるよう、Uターンを支援する「呼ぼう事業(魅力ある人と地域を育み、誘い、ふるさとへの回帰を促す)」を展開しております。これまでの、移住者起業支援、移住者空き家改修等補助、長野地域UJIターン就職促進(就職情報サイト管理運営や「ナガノのシゴト博」開催)、農業次世代人材投資事業や親元就農者支援事業などの施策に加え、新たに、2019年度は、移住支援金の支給、ふるさとワーキングホリデー事業、移住促進住宅開設事業、Uターン促進キャンペーン等を事業化することで「呼ぼう事業」を強化することにしております。
3月24日の信濃毎日新聞社説によると、2002年に退職を迎える団塊の世代の帰郷を後押しする目的で設立された東京有楽町にある認定NPO法人ふるさと回帰センターへの相談件数は年々増えるとともに、年代別では、10年前には50歳代から70歳代が7割を占めていたものが、近年では20歳代から40歳代が7割を占めている、と記されておりました。また、同センターの理事長は、満員電車に揺られて通勤し、激しい競争にさらされて・・・、お金に換算できない価値観で生きたい、という移住志向の若者の数はまだまだ伸びる、と述べるとともに、住居と仕事、支援体制の3つの受け皿を自治体側が準備できていない、との課題を指摘しておりました。このことを踏まえ、改めて、長野市の「カムバックtoながの」を合言葉に展開している事業の効果等を検証しなければなりません。
一つの事例をご紹介します。平成28年8月から長野市は、東京圏で建設業に従事している50歳未満の技能労働者や施工管理者が長野市建設業協会会員企業に就職した場合に引っ越し費用の一部を補助する「建設労働者就業支援補助金」を設けました。事業開始から2年余り経過しましたが、東京五輪特需等の中で人手不足が全国的に広がっていることからか、これまで利用した人はおりませんでした。しかし、働き盛りの若者世代を長野市に呼び込む「カムバックtoながの」の一つの目玉施策として、対象を幅広い業種に拡大し、第二新卒や中途採用の雇用施策といった支援体制を更に充実させていくことが有効なのではないかと考えます。
<20代半ばから30代半ばの転入、移住に期待>
もう一つ、長野市が『カムバックtoながの』事業の中心として捉えている働き盛り世代である25歳から34歳の階級についてみてみると、平成28年184人、平成29年119人、平成30年では136人の社会増(転入超過)となっています。これは大変頼もしく、期待できることだと思いますが、同時に、そうした年代のニーズに応えられるようなきめ細かな対策を更に充実させる必要があります。例えば、幼児教育分野における課題の解決や、求人求職におけるマッチング等の就職支援や市内及び長野圏域にある事業所に対する良質な雇用環境の促進等、子育て世代や若い世代が安心して暮らしたいと思えるまちづくりへの対策を講じていくことが必要だと考えます。
人口減少に直面する地域社会を長野市や市議会、議員がどう対応していくのか、課題を見極め、解決を図っていくため、議論を深めていかなければなりません。私も他市の事例等を勉強しながら新たな発想を持って取り組んでまいります。
地域社会が直面する、人口減少や大規模な自然災害の発生、地方財政の硬直化等、喫緊の課題に対応するためには、行政と議会、議員が果たす役割は益々高まっております。しかしながら、先の県議会議員選挙の投票率は、長野市で40.36%(上水内含めても41.39%)と過去最低となったことは、大変残念なことでありました。それぞれの候補者の主張を有権者に十分に届けることが出来たのか、関心を高める取り組みが出来たのか等、私自身も真摯に受け止め、考えなければならないと思います。
<人口減少と社会減(転出人口増)の長野市>
日本の地方都市はいずれも、少子超高齢化や人口減少、東京圏への一極集中という大きな課題に直面しておりますが、長野市も同様であり、国立社会保障・人口問題研究所によれば、現在の約37万人の人口が、2030年に約33万人、2040年で約30万人に減少するとの予測が出されております。しかし、いかなる時代であっても、長野市は、住みやすい、住みたい、住み続けたい、と感じてもらえる都市であり続けなければなりません。そして、そうした方向に向けてまちづくりを進めていくことが、行政及び議会、議員の責務であると思います。
長野県が1月末に公表した昨年末の県内の人口は、2,061,053人と前年度と比べ12,116人減少しましたが、社会増減(転入から転出の差)では2年連続して、わずかですが、転入者が転出者を上回る社会増(転入超過230人)となりました。一方、長野市の人口は、前年度から2,475人減少し、371,020人となり、更に、直近9年間の社会増減についてみてみると、平成27年を除いて、ほぼ毎年、転出者が転入者を上回る社会減(転出超過)が続いています。昨年は604人の転出超過となりました。そこで、社会増減の推移を年齢(5歳階級)別に見てみると、15歳から24歳の階級で平成28年が459人、平成29年は353人、平成30年では301人の社会減(転出超過)となっており、この階級では、大学等への進学や就職による移動が多いことから、今後もこの傾向が続くのではないかと思います。
一方、平成30年4月には長野県立大学開学、平成31年4月に長野保健医療大学と清泉女学院大学にそれぞれ看護学部が開設されたことにより、長野市の18歳人口に対する大学の収容率は28%から39.7%に上昇しました。看護師や保健師といった国家資格や専門知識の習得の場が広がったことは、将来に向けて長野市の強みになるのではないかと思います。しかしながら、進学を目指す方々のニーズに100%応えることは出来ませんから、15歳から24歳の階級における東京圏への転出は、今後も続くものと考えなければなりません。
<『カムバックtoながの』事業の充実が必要>
長野市は『カムバックtoながの』を合言葉に、「長野市に戻って働きたい」、「長野市に住みたい」、「やっぱり長野市に帰ってきて良かった」、と思っていただけるよう、Uターンを支援する「呼ぼう事業(魅力ある人と地域を育み、誘い、ふるさとへの回帰を促す)」を展開しております。これまでの、移住者起業支援、移住者空き家改修等補助、長野地域UJIターン就職促進(就職情報サイト管理運営や「ナガノのシゴト博」開催)、農業次世代人材投資事業や親元就農者支援事業などの施策に加え、新たに、2019年度は、移住支援金の支給、ふるさとワーキングホリデー事業、移住促進住宅開設事業、Uターン促進キャンペーン等を事業化することで「呼ぼう事業」を強化することにしております。
3月24日の信濃毎日新聞社説によると、2002年に退職を迎える団塊の世代の帰郷を後押しする目的で設立された東京有楽町にある認定NPO法人ふるさと回帰センターへの相談件数は年々増えるとともに、年代別では、10年前には50歳代から70歳代が7割を占めていたものが、近年では20歳代から40歳代が7割を占めている、と記されておりました。また、同センターの理事長は、満員電車に揺られて通勤し、激しい競争にさらされて・・・、お金に換算できない価値観で生きたい、という移住志向の若者の数はまだまだ伸びる、と述べるとともに、住居と仕事、支援体制の3つの受け皿を自治体側が準備できていない、との課題を指摘しておりました。このことを踏まえ、改めて、長野市の「カムバックtoながの」を合言葉に展開している事業の効果等を検証しなければなりません。
一つの事例をご紹介します。平成28年8月から長野市は、東京圏で建設業に従事している50歳未満の技能労働者や施工管理者が長野市建設業協会会員企業に就職した場合に引っ越し費用の一部を補助する「建設労働者就業支援補助金」を設けました。事業開始から2年余り経過しましたが、東京五輪特需等の中で人手不足が全国的に広がっていることからか、これまで利用した人はおりませんでした。しかし、働き盛りの若者世代を長野市に呼び込む「カムバックtoながの」の一つの目玉施策として、対象を幅広い業種に拡大し、第二新卒や中途採用の雇用施策といった支援体制を更に充実させていくことが有効なのではないかと考えます。
<20代半ばから30代半ばの転入、移住に期待>
もう一つ、長野市が『カムバックtoながの』事業の中心として捉えている働き盛り世代である25歳から34歳の階級についてみてみると、平成28年184人、平成29年119人、平成30年では136人の社会増(転入超過)となっています。これは大変頼もしく、期待できることだと思いますが、同時に、そうした年代のニーズに応えられるようなきめ細かな対策を更に充実させる必要があります。例えば、幼児教育分野における課題の解決や、求人求職におけるマッチング等の就職支援や市内及び長野圏域にある事業所に対する良質な雇用環境の促進等、子育て世代や若い世代が安心して暮らしたいと思えるまちづくりへの対策を講じていくことが必要だと考えます。
人口減少に直面する地域社会を長野市や市議会、議員がどう対応していくのか、課題を見極め、解決を図っていくため、議論を深めていかなければなりません。私も他市の事例等を勉強しながら新たな発想を持って取り組んでまいります。