会派による行政視察
2019年02月09日
鈴木洋一 at 13:29 | 活動
1月、2月は委員会及び会派による視察が続きました。
2月6日~8日で私が属する「改革ながの市民ネット」議員5名で行政視察を行いましたので、ご報告します。
2019年2月6日(水)
宮崎県都城市 中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」について
Mallmallは、中心市街地の中核施設として2018年4月に開館した。
<設立の経緯>
百貨店の都城大丸が平成23年1月に閉店となり跡地再生が新たな課題となった。当初、商工会議所会員企業が大丸跡地再生の受け皿会社として「株式会社ハートシティ都城」を設立したが、平成25年に市長の交代により都城市が跡地再生に向け参入し既存施設の有効活用と官民連携の事業展開により整備コストの縮減を図りながら都市機能を集約し効率的にまちなかの賑わいを再生していく方針を決定した。
<施設の概要>
まず、施設の整備コンセプトは、市民ニーズに即した施設・機能の集約であり、市民が長年要望していた図書館の移転、規模や施設の充実を図り、居心地のよい空間を実現、子育て世代が集い交流できる空間を整備。日常的な賑わいを創出する多目的広場を整備すること。そうしたコンセプトに基づき、施設には、図書館本館、セミナー室や多目的室のある未来創造ステーション、mall mall の中央にある全天候型の多目的広場である「まちなか広場」と3階建ての複合施設である「まちなか交流センター」がある。
交流センターの1階にはバス待合所、まちなかキッチンと総合案内とラウンジがあり、2階には保健センターと多目的室、そして、3階には一時預かり機能も備えた子育て世代活動支援センター、屋内外3つの遊びスペースがある。
<効果と特徴は>
昨年4月開館以降、図書館で見るとそれまで年間来館者数が17万人だったものが開館1ヶ月で10万人を達成し、本年2月3日時点で97万人が来館した。更に、複合施設全体とすれば昨年10月に100万人を超え、現時点で170万人ほどの来館者がある。指定管理者の創意工夫もあり様々なイベントも定期的に開催され一つのイベントに1万人が集うこともあるとのこと。整備コンセプトに掲げたことが具現化され多くの市民はもちろん、近隣市、鹿児島県からの来館者も恒常的にあるとのことで中心市街地の賑わいの中心となっている。
施設全体の特徴として、旧大丸を図書館に改修したことで約31億円の整備コスト縮減に繋がり、規模が旧図書館の3倍に拡大した。図書館含め複合施設全体の整備計画から現在に至るまで所管しているのが商工観光部の中心市街地活性化室である。指定管理者の知識や経験、発想を生かしながら運営しているので、図書館を例にとっても斬新な箇所がいくつも見られた。
<考察>
縦割り行政を超えた取り組みが評価できる。図書館であれば文科省であったり、商工観光は経産省ということでなく、国交省の事業として展開し、更に、商工観光部が事業の主体として進めたことで賑わいや市民ニーズに応えた複合施設施設となったと考える。長野市も多方面からの知恵を結集させ、これまでの枠に囚われない新たな発想が必要ではないか。
2019年2月7日(木)
福岡県久留米市 よかよか介護ボランティア事業(介護支援ボランティア制度)について
<概要と経緯>
人口30万人の久留米市の高齢化率は26、5%で全国平均を下回るも年々高まっている。
平成25年から始まった「よかよか介護ボランティア事業」は、介護施設でのボランティア活動を通して生きがいややりがいのある活動の場として、高齢者の社会参加と地域貢献のきっかけとすべく、更に、介護への関心を高めることと、介護予防に繋げる事を目的として取り組みが行われている。
ボランティアに参加できるのは、久留米市内に在住している65歳以上の介護保険の要支援・要介護の認定を受けていなく登録をした市民。
平成30年のボランティア登録者数は287人で、ボランティア受け入れ機関数は155事業所ある。
久留米市の事業の特徴は、ポイントの付与と交換。ボランティア活動1時間につき原則1ポイントが付与され、1年間で10ポイント以上貯めた場合、1ポイント=100円、最大50ポイント(5、000円)まで奨励金として交換できること。平成30年9月末までの1年間のポイント交換実績は61名で192200円で3500〜3600円/人だった。財源は、介護保険事業特別会計の地域支援事業費として年間380万で運営している。
<事業効果>
参加者自身の老後に対するいい勉強の場となった、家族の介護に役立った、生活のリズムに張り合いが出た、老後の不安がなくなった、社会参加や生きがいづくり、健康づくりに繋がった、と言った参加者の声があったとのこと。また、施設利用者と年齢がさほど遠くないことから話し相手としてのボランティアが大変喜ばれているようだ。
<課題>
登録者は増加傾向にあるものの実際に活動されるのは全体の約3割に留まっている。一方で、依頼があればボランティアに参加するがその依頼がこない、と言ったアンバランス状況にあること。
参加意思のある方が4割いるというのは、受け入れ先とのマッチングが大きな課題であろうと考えるが、介護の現場の人手不足がボランティア受け入れの度量さえも奪っている現実があるのではないか。こうした根本的な課題に向き合いつつも粘り強く進めている事業であり、これからの超高齢化社会には不可欠な取り組みであると思う。長野市でも一般介護予防事業の取り組みがあるが、より多くの方々が参加しやすい環境となっているのか、現状の課題は何なのか、どう対応していくのか、改めて検証しなければならない。
<考察>
長野市においてもポイント付与のボランティア制度の取り組みについて検討されている。多くの方々が関わりを持つことで、介護への理解を高めるとともに自身の健康増進と生きがいづくりに繋がるような環境をどう作っていくのかが重要な視点となると考える。誰もが迎えることであり、決して他人事でないことを理解しながら、互いに助け合う温かさを育んでいくために様々な角度から考えていきたい。
2019年2月8日(金)
愛知県日進市
放課後子ども総合プラン(放課後子ども教室の有料実施)ついて
平成6年市政施行、当初5万人の人口が今、91、000人弱で名古屋、豊田の両都市に通いやすいところに位置している。毎年約1000人規模で人口が増えてきた。今後10年から20年でも人口増に期待がかかる。不動産需要が高く、現在も数カ所で宅地造成が進められている。戸建住宅取得志向の若い世代が子育ての環境を求めて日進市に居を構えたいと転入される方が多い。
<経緯>
若い共働き世帯が多いことから保育需要が高く、小学校では児童クラブの需要が更に高まっていた。平成17年の段階で児童クラブはほぼパンク状態であった。27年度からは民間児童クラブが参入したが、更に需要の高まりが予測できたため平成29年度に放課後子ども総合プラン一体型が導入された。現在、民間児童クラブ18施設では600名が利用可能、放課後子ども総合プランの児童クラブ9施設で定員200名、同じく子ども教室9施設1759名の定員となっている。
<現状と課題>
日進市では民間児童クラブ、プランの児童クラブ、子ども教室の3層で構成されている。具体的には、民間に入れない場合は、プランの児童クラブ、そこにも入れない場合にプランの子ども教室という流れで行われている。民間の児童クラブは学習塾により運営されており、利用料も高額であるがニーズがあるとのこと。民間含め3層構造の体制で需要に応えているが、それでも更に高まる需要にどう対応していくのか、実施する場所の確保が難しいといった大きな難しい課題がある。長野市の課題の1つである人材確保については対応が出来ているとのこと。
<考察>
長野市は平成30年度より放課後総合プランが有料化され、登録を控える家庭も増えた。日進市と長野市の現状を単純に比較は出来ないが、長野市として進めるプランの目的としている小学校又は特別支援学校に就学している児童に対し、放課後等に、安全で安心な遊びの場及び生活の場において多様な体験活動、交流等の機会を提供することで児童の自主性、社会性及び創造性の向上を図っていくために、今、そして将来に向けて何をしなければならないのか、現場の状況を把握し、利用者の声を受けとめながら進めていかなければならない。
2月6日~8日で私が属する「改革ながの市民ネット」議員5名で行政視察を行いましたので、ご報告します。
2019年2月6日(水)
宮崎県都城市 中心市街地中核施設「Mallmall(まるまる)」について
Mallmallは、中心市街地の中核施設として2018年4月に開館した。
<設立の経緯>
百貨店の都城大丸が平成23年1月に閉店となり跡地再生が新たな課題となった。当初、商工会議所会員企業が大丸跡地再生の受け皿会社として「株式会社ハートシティ都城」を設立したが、平成25年に市長の交代により都城市が跡地再生に向け参入し既存施設の有効活用と官民連携の事業展開により整備コストの縮減を図りながら都市機能を集約し効率的にまちなかの賑わいを再生していく方針を決定した。
<施設の概要>
まず、施設の整備コンセプトは、市民ニーズに即した施設・機能の集約であり、市民が長年要望していた図書館の移転、規模や施設の充実を図り、居心地のよい空間を実現、子育て世代が集い交流できる空間を整備。日常的な賑わいを創出する多目的広場を整備すること。そうしたコンセプトに基づき、施設には、図書館本館、セミナー室や多目的室のある未来創造ステーション、mall mall の中央にある全天候型の多目的広場である「まちなか広場」と3階建ての複合施設である「まちなか交流センター」がある。
交流センターの1階にはバス待合所、まちなかキッチンと総合案内とラウンジがあり、2階には保健センターと多目的室、そして、3階には一時預かり機能も備えた子育て世代活動支援センター、屋内外3つの遊びスペースがある。
<効果と特徴は>
昨年4月開館以降、図書館で見るとそれまで年間来館者数が17万人だったものが開館1ヶ月で10万人を達成し、本年2月3日時点で97万人が来館した。更に、複合施設全体とすれば昨年10月に100万人を超え、現時点で170万人ほどの来館者がある。指定管理者の創意工夫もあり様々なイベントも定期的に開催され一つのイベントに1万人が集うこともあるとのこと。整備コンセプトに掲げたことが具現化され多くの市民はもちろん、近隣市、鹿児島県からの来館者も恒常的にあるとのことで中心市街地の賑わいの中心となっている。
施設全体の特徴として、旧大丸を図書館に改修したことで約31億円の整備コスト縮減に繋がり、規模が旧図書館の3倍に拡大した。図書館含め複合施設全体の整備計画から現在に至るまで所管しているのが商工観光部の中心市街地活性化室である。指定管理者の知識や経験、発想を生かしながら運営しているので、図書館を例にとっても斬新な箇所がいくつも見られた。
<考察>
縦割り行政を超えた取り組みが評価できる。図書館であれば文科省であったり、商工観光は経産省ということでなく、国交省の事業として展開し、更に、商工観光部が事業の主体として進めたことで賑わいや市民ニーズに応えた複合施設施設となったと考える。長野市も多方面からの知恵を結集させ、これまでの枠に囚われない新たな発想が必要ではないか。
2019年2月7日(木)
福岡県久留米市 よかよか介護ボランティア事業(介護支援ボランティア制度)について
<概要と経緯>
人口30万人の久留米市の高齢化率は26、5%で全国平均を下回るも年々高まっている。
平成25年から始まった「よかよか介護ボランティア事業」は、介護施設でのボランティア活動を通して生きがいややりがいのある活動の場として、高齢者の社会参加と地域貢献のきっかけとすべく、更に、介護への関心を高めることと、介護予防に繋げる事を目的として取り組みが行われている。
ボランティアに参加できるのは、久留米市内に在住している65歳以上の介護保険の要支援・要介護の認定を受けていなく登録をした市民。
平成30年のボランティア登録者数は287人で、ボランティア受け入れ機関数は155事業所ある。
久留米市の事業の特徴は、ポイントの付与と交換。ボランティア活動1時間につき原則1ポイントが付与され、1年間で10ポイント以上貯めた場合、1ポイント=100円、最大50ポイント(5、000円)まで奨励金として交換できること。平成30年9月末までの1年間のポイント交換実績は61名で192200円で3500〜3600円/人だった。財源は、介護保険事業特別会計の地域支援事業費として年間380万で運営している。
<事業効果>
参加者自身の老後に対するいい勉強の場となった、家族の介護に役立った、生活のリズムに張り合いが出た、老後の不安がなくなった、社会参加や生きがいづくり、健康づくりに繋がった、と言った参加者の声があったとのこと。また、施設利用者と年齢がさほど遠くないことから話し相手としてのボランティアが大変喜ばれているようだ。
<課題>
登録者は増加傾向にあるものの実際に活動されるのは全体の約3割に留まっている。一方で、依頼があればボランティアに参加するがその依頼がこない、と言ったアンバランス状況にあること。
参加意思のある方が4割いるというのは、受け入れ先とのマッチングが大きな課題であろうと考えるが、介護の現場の人手不足がボランティア受け入れの度量さえも奪っている現実があるのではないか。こうした根本的な課題に向き合いつつも粘り強く進めている事業であり、これからの超高齢化社会には不可欠な取り組みであると思う。長野市でも一般介護予防事業の取り組みがあるが、より多くの方々が参加しやすい環境となっているのか、現状の課題は何なのか、どう対応していくのか、改めて検証しなければならない。
<考察>
長野市においてもポイント付与のボランティア制度の取り組みについて検討されている。多くの方々が関わりを持つことで、介護への理解を高めるとともに自身の健康増進と生きがいづくりに繋がるような環境をどう作っていくのかが重要な視点となると考える。誰もが迎えることであり、決して他人事でないことを理解しながら、互いに助け合う温かさを育んでいくために様々な角度から考えていきたい。
2019年2月8日(金)
愛知県日進市
放課後子ども総合プラン(放課後子ども教室の有料実施)ついて
平成6年市政施行、当初5万人の人口が今、91、000人弱で名古屋、豊田の両都市に通いやすいところに位置している。毎年約1000人規模で人口が増えてきた。今後10年から20年でも人口増に期待がかかる。不動産需要が高く、現在も数カ所で宅地造成が進められている。戸建住宅取得志向の若い世代が子育ての環境を求めて日進市に居を構えたいと転入される方が多い。
<経緯>
若い共働き世帯が多いことから保育需要が高く、小学校では児童クラブの需要が更に高まっていた。平成17年の段階で児童クラブはほぼパンク状態であった。27年度からは民間児童クラブが参入したが、更に需要の高まりが予測できたため平成29年度に放課後子ども総合プラン一体型が導入された。現在、民間児童クラブ18施設では600名が利用可能、放課後子ども総合プランの児童クラブ9施設で定員200名、同じく子ども教室9施設1759名の定員となっている。
<現状と課題>
日進市では民間児童クラブ、プランの児童クラブ、子ども教室の3層で構成されている。具体的には、民間に入れない場合は、プランの児童クラブ、そこにも入れない場合にプランの子ども教室という流れで行われている。民間の児童クラブは学習塾により運営されており、利用料も高額であるがニーズがあるとのこと。民間含め3層構造の体制で需要に応えているが、それでも更に高まる需要にどう対応していくのか、実施する場所の確保が難しいといった大きな難しい課題がある。長野市の課題の1つである人材確保については対応が出来ているとのこと。
<考察>
長野市は平成30年度より放課後総合プランが有料化され、登録を控える家庭も増えた。日進市と長野市の現状を単純に比較は出来ないが、長野市として進めるプランの目的としている小学校又は特別支援学校に就学している児童に対し、放課後等に、安全で安心な遊びの場及び生活の場において多様な体験活動、交流等の機会を提供することで児童の自主性、社会性及び創造性の向上を図っていくために、今、そして将来に向けて何をしなければならないのか、現場の状況を把握し、利用者の声を受けとめながら進めていかなければならない。