京都市の小中一貫教育を視察
2018年01月19日
鈴木洋一 at 06:19 | 活動
18日、京都市の小中一貫教育を視察しました。
京都市は言わずと知れた人口147万超の政令指定都市です。古都、観光、日本の代表的な都市であるわけですが、既に小中一貫教育への取り組みが成されております。
京都市の小中一貫教育の概要として、平成16年度に構造改革特区、「小中一貫教育」特区に選定され、平成19年度に施設一体型一貫校1校(山間部1つの中学校と1つの小学校)、施設併設型一貫校1校(市内部1つの中学と2つの小学校)がスタートし、現在、施設一体型4校、施設併設型2校、連携型64中学校ブロック、すべての小中学校において一貫教育が導入されております。
今後、平成31、32年度に施設一体型一貫校が1校づつ、計2校が加わり、更に、平成30年度以降、すでに校長一人体制の6校については「義務教育学校」に移行する計画が打ち出されております。
一貫教育導入の背景には、教育課題の複雑化、小中の連続性の重要さ(小学校は小学校、中学校は中学校という固定化された考えから生じる不合理さ)等を克服し、学力の向上を目指す、といったところにあります。そこで一貫教育を進めていく上で教育委員会より、5つの実践として、
1.各中学校ブロックで目指す子ども像の実現に向けた構想図の作成
2.軸となる取り組み・活動について9年間の系統性のある計画を作成し、「学びのルール・約束」を明確にする
3.部会を設けるなど、推進体制を確立する
4.実現状況、取り組み・活動の評価の点検
5.学校運営協議会等で評価、点検等について協議し、保護者・地域への周知に努める
上記を指示したことで、中学進学への不安「中一ギャップ」の減少、教職員の意識改革・授業改善、学習指導、生徒指導の向上、保護者の意識改革、学力の向上に繋がっているという説明をいただきました。
一方で、まだまだ課題もあり、教職員の負担増(部活時間縮減等で時間を作り出すよう努力している)、小6児童の最高学年という意識の低下(施設一体、併設のケース)、9年間の系統制に配慮した指導計画の作成や教材の開発、行事の調整、そして長野市でも大きな課題となる進学先の中学校が複数校となる小学校を有する地域における一貫教育の在り方、教員の校舎間移動、教職員の日ごろの意思疎通、一人校長の場合の負担、等が挙げられております。京都では校区の再編の検討、夏休み等を活用した研修会開催等で課題解決に向けて取り組んでいかれるとのことです。
<考察>京都市での一貫教育では、構造改革特区の選定を受けてのスタートで、制度の特徴を生かし、小中一貫学習支援プログラムを充実させるなど、学力向上に力を入れ、成果が出てきている。私立小・中の受験者減、公立進学者が5~8%増となった。施設一体・併設型設置については児童生徒数の減少が大きなきっかけとなったが、基本的には地域からの要望を受けての設置となっており、決して教育委員会主導ではない。児童生徒数減少があっても山間地等で統合の仕様がない学校もある。やはり中学校校長等、リーダーシップが不可欠である。再編統合に基準を設けていない等、京都市の取り組みとしてまとめられると思いますが、何より、一貫教育を推進していく、という強い前向きな意識を感じるところです。
児童生徒数減少により生じている学校の在り方について、長野市でも議論されておりますが、一定の規模が必要、片方では地域に学校を残していきたい、という意見を踏まえると、京都市での取り組みは参考となるのではないか、また、連携型を進めていく上で、校区の見直し等、難しい課題への取り組みの検討も必要になってくるのではないか、学力向上を図るうえで、小ー中の連携が果たす効果を改めて認識する必要があるのではないか、と思います。
小中一貫教育は一体型のみならず連携型をもしっかり捉えながら取り組まなければ負担が増える等、まさに絵に描いた餅となることも考えられます。長野市としての方向を明確にしていくことが求められます。
京都市は言わずと知れた人口147万超の政令指定都市です。古都、観光、日本の代表的な都市であるわけですが、既に小中一貫教育への取り組みが成されております。
京都市の小中一貫教育の概要として、平成16年度に構造改革特区、「小中一貫教育」特区に選定され、平成19年度に施設一体型一貫校1校(山間部1つの中学校と1つの小学校)、施設併設型一貫校1校(市内部1つの中学と2つの小学校)がスタートし、現在、施設一体型4校、施設併設型2校、連携型64中学校ブロック、すべての小中学校において一貫教育が導入されております。
今後、平成31、32年度に施設一体型一貫校が1校づつ、計2校が加わり、更に、平成30年度以降、すでに校長一人体制の6校については「義務教育学校」に移行する計画が打ち出されております。
一貫教育導入の背景には、教育課題の複雑化、小中の連続性の重要さ(小学校は小学校、中学校は中学校という固定化された考えから生じる不合理さ)等を克服し、学力の向上を目指す、といったところにあります。そこで一貫教育を進めていく上で教育委員会より、5つの実践として、
1.各中学校ブロックで目指す子ども像の実現に向けた構想図の作成
2.軸となる取り組み・活動について9年間の系統性のある計画を作成し、「学びのルール・約束」を明確にする
3.部会を設けるなど、推進体制を確立する
4.実現状況、取り組み・活動の評価の点検
5.学校運営協議会等で評価、点検等について協議し、保護者・地域への周知に努める
上記を指示したことで、中学進学への不安「中一ギャップ」の減少、教職員の意識改革・授業改善、学習指導、生徒指導の向上、保護者の意識改革、学力の向上に繋がっているという説明をいただきました。
一方で、まだまだ課題もあり、教職員の負担増(部活時間縮減等で時間を作り出すよう努力している)、小6児童の最高学年という意識の低下(施設一体、併設のケース)、9年間の系統制に配慮した指導計画の作成や教材の開発、行事の調整、そして長野市でも大きな課題となる進学先の中学校が複数校となる小学校を有する地域における一貫教育の在り方、教員の校舎間移動、教職員の日ごろの意思疎通、一人校長の場合の負担、等が挙げられております。京都では校区の再編の検討、夏休み等を活用した研修会開催等で課題解決に向けて取り組んでいかれるとのことです。
<考察>京都市での一貫教育では、構造改革特区の選定を受けてのスタートで、制度の特徴を生かし、小中一貫学習支援プログラムを充実させるなど、学力向上に力を入れ、成果が出てきている。私立小・中の受験者減、公立進学者が5~8%増となった。施設一体・併設型設置については児童生徒数の減少が大きなきっかけとなったが、基本的には地域からの要望を受けての設置となっており、決して教育委員会主導ではない。児童生徒数減少があっても山間地等で統合の仕様がない学校もある。やはり中学校校長等、リーダーシップが不可欠である。再編統合に基準を設けていない等、京都市の取り組みとしてまとめられると思いますが、何より、一貫教育を推進していく、という強い前向きな意識を感じるところです。
児童生徒数減少により生じている学校の在り方について、長野市でも議論されておりますが、一定の規模が必要、片方では地域に学校を残していきたい、という意見を踏まえると、京都市での取り組みは参考となるのではないか、また、連携型を進めていく上で、校区の見直し等、難しい課題への取り組みの検討も必要になってくるのではないか、学力向上を図るうえで、小ー中の連携が果たす効果を改めて認識する必要があるのではないか、と思います。
小中一貫教育は一体型のみならず連携型をもしっかり捉えながら取り組まなければ負担が増える等、まさに絵に描いた餅となることも考えられます。長野市としての方向を明確にしていくことが求められます。