3月定例会一般質問

鈴木洋一

2024年03月10日 21:22

 長野市議会3月定例会は、今定例会に上程された議案の審議について、先週(7日)から各常任委員会で審議されております。私が所属する総務委員会は、7~8日及び明日の11日、3日間の開催です。
 さて、3月1日に一般質問で登壇しました。議事録を掲載いたします。

鈴木:農業振興のうち直売所の充実による販売力強化について伺います。
令和6年度予算案における農林業費は、名古屋市での物産展開催、本市産食材を使用したホテルとの連携などによる売れる農業の推進の取組と、対象年齢を50歳未満まで引き上げる親元就農者支援の拡大や新規事業であるヘーゼルナッツ振興などの生産支援強化策を柱に、今年度比で1,000万円、0.4%増の23.4億円を計上するなど、積極果敢な姿勢が表れていることに敬意を表します。

 しかし、令和4年度から8年度までを計画期間としている第2期長野市農業振興アクションプランは、農産物直売所を新鮮な地元農産物を求める市民ニーズに対応しており、地産地消につながっている、また、直売所売上額は増加していると評価していることから、本市農業の販売力強化に直売所の充実は欠かせないものと考えます。

 現在、果樹農家の販売方法は、共販による市場出荷や贈答品を中心とした直接販売が主流ですが、商品化率の問題や物流コストの増嵩等で厳しい状況に置かれているため、園地の近くで販売できる直売所の存在は、多くの農業者が望んでいる販売形態だと考えます。
令和6年度予算編成基本方針、長野市の強みを生かした未来への戦略的投資における売れる農業推進策の一つとして、本市の農業振興に寄与する直売所の充実を求めたいと思います。

 例えば、新たに本市に所在する直売所やインショップのマップやリストを作成することで、そこに行けば地域の特色を持った取れたての新鮮な旬の地元農産物が手に入ることが理解され、市民にとどまらず観光客を引きつけることができるのではないでしょうか。直売所の充実拡大、組織化は、観光産業と連携した農業の販売力強化の観点から戦略的な投資と考えますが。

農林部長:農産物の直売所は、新鮮な旬な果樹や野菜がそろい、生産者と消費者を結びつける施設として市内外から多くのお客様が訪れ、地元農産品のPRや消費拡大につながっております。

 本市の直売所に関する支援といたしましては、昨年実施したまるごと長野市や農業フェアなど、物販を伴うイベントへの出店サポートを行うとともに、長野市地産地消推進協議会が作成する「おいしいながのガイドブック」において市内の直売所を紹介しております。このようなガイドブックを作成して、配布をしているところでございます。
 また、このガイドブックで紹介するだけでなく、直接直売所へ足を運んでいただけるよう市内14の直売所などを巡るスタンプラリーを実施いたしました。
 さらに、本年度は新たな取組としてガイドブックに加えインスタグラムを活用し、ホームページとリンクをさせながら、スタンプラリーに参加しやすいよう直売所の所在地や販売品目などの詳細な情報を発信いたしました。その結果、スタンプラリー参加者の約2割は市外の在住者となり、遠くは和歌山県から参加されるなど幅広い誘客につながりました。
 また、スタンプラリー参加者に農産品をプレゼントする企画への応募を、従来の郵送方法に加え、本年度から電子申請での受付を始めた結果、20代の方からの応募が増えるなどの効果がございました。
 さらに、こうした誘客支援だけでなく、農業法人や農業者団体自らが行う直売所の販売促進に関する支援制度もございますので、具体的な事業の相談に対応してまいりたいと考えております。

 今後も、市民だけでなく、市外からの観光客、また、若年層を含めた幅広い世代の方が直売所を訪れて、地元農産品をお買い求めいただけるような仕組みや取組を実施し、販売力強化につなげてまいりたいと考えております。以上でございます。

鈴木: いろいろなお取組には応援をさせていただきたいと思いますけれども、 2月22日の信濃毎日新聞建設標に市民の方からの投稿がありましたので、少し御紹介をさせていただきたいと思います。
「合併前の村だった頃、国道に面した広場の一角に直売所が建てられた、ということです。過疎化、高齢化の地で人と接することはとてもうれしく、みんなのよりどころとなった、売上げがそれぞれの口座に入るのもうれしい、さらに、畑の荒廃を少なくするに張り合いを感じるようになった、これからも達者で直売所の棚に並べられるものを作ることを楽しみにしている」という投稿です。
 やはり直売所の設置がより多くの農業者の皆様方の、いわゆる販売にもつながることだと思いますし、地域の農業振興にもつながっていくことだと思いますので、引き続き直売所の充実に関してお取組をお願いしたいと思います。

 その上で戦略的な投資の試みとして、市内の直売所同士が高みを目指し、互いに協力、連携できれば、直売所の収益力向上や小規模農家等を含めた、今も申し上げさせていただいたとおり、農業生産者の販路拡大、さらには市民の農業参画への動機づけにつながる取組となるものと考えます。直売所、関係団体、農業生産者が行政と協力し、直売所協議会を設置してはどうでしょうか。

農林部長:直売所関係団体、農業生産者と行政が協力する協議会につきましては、同様の取組を行う組織といたしまして長野市地産地消推進協議会がございます。
 この団体は、平成16年に設立をされ、市内で直売所を運営するJAや主に若手生産者の集まりでございます長野市農業青年協議会、長野商工会議所など、農産物の生産から販売、消費に関わる団体などで構成をされております。
 協議会の取組の一つといたしまして、地産地消に取り組む直売所や飲食店などを地産地消協力店として認定をしておりまして、認定した協力店をウェブや紙媒体などによりまして情報発信するとともに、他の協力店や関係団体と連携した取組により相乗的な集客効果が生まれるよう支援を行っているところでございます。
 この協力店の認定につきましては、経営規模の大小による条件はないことから、農業者が運営する小規模な直売所であっても、要件を満たせば協力店として認定をしているところでございます。
 協力店に認定されることで、物販を伴うイベントへの出店機会が増え、直売所のPRや、さらには収益増加に結びつく可能性も高まると考えております。
 今後も引き続き、地産地消協力店の認定制度やそのメリットを生産者に周知し、高みを目指して互いに協力できる体制を整えてまいりたいと考えております。

鈴木:周知を図って、しっかりと取組を深めていただくようにお願いしたいと思います。
 次に、地域資源を活用した戦略的な投資について伺います。
長野市都市計画マスタープランが農業的土地利用が主な地区では、農地保全を図るとともに、体験型農業や6次産業化などの農業振興に必要な施設の立地が可能な土地については、その利用を検討するとしていることを踏まえ、本市の強みを生かした未来への戦略的な投資における地域振興、農業振興策について例を挙げて考えたいと思います。
 真島地域は、スポーツを軸とした地域振興、農業振興への貢献が期待できるホワイトリングに加え、JA旧共選所跡地、集荷と文化の機能を有した市場団地、さらには地域全体に広がる果樹園地など、豊富な地域資源と多様な強みが集積している地域です。この強みを生かし、スポーツツーリズム、アグリツーリズムの創造や関係人口を目的に長野市の強みを生かした未来への戦略的な投資の観点から、本市資産の有効活用による農業公園の設置や、隣接する地域資源の利活用等について検討できないか。

農林部長:地域の農業や自然環境、また、地域の気候風土が生んだ食文化などの地域資源の活用は、地域活性化のための重要な要素であります。
 市内でも、鬼無里地域のエゴマ栽培やエゴマ油作りを通じた農業体験による都市と農村の交流や、戸隠地域の特産であるそばは、食を楽しむだけでなく、そば畑の景観自体が地域資源になるなど、農業と地域振興は密接な関係にございます。
 また、篠ノ井有旅地区では、ワイン用ブドウの栽培に加えワイナリーの開業が予定され、今後ワインツーリズムへの広がりも期待されるなど、新たな地域資源を活用した取組も生まれております。
 真島地区につきましては、農業が盛んな地域で、信州ブレイブウォリアーズの拠点であるホワイトリングがあり、ホームゲーム開催時には地元農産品を販売するなど、市も側面から支援を行っているところでございます。
 また、今後、真島地区の皆様がJAの共選所跡地や地元産果樹などの活用を検討する中で、6次産業化などの考えがございましたら、国の補助制度活用についてサポートするなど、その活動を支援してまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、まずは地区住民の皆様が農業公園や地域資源を活用したまちづくりについて主体的に考え、取り組んでいただくことが重要であると考えております。その中から生まれる地元産農産品の販売力強化につながる取組につきましては、本市としても支援を検討してまいりたいと考えております。

鈴木: 今回の質問は、市長が今回掲げられました長野市の強みを生かした未来の戦略的な投資とのメッセージに私も大変共感をし、まさに触発をされて提案をさせていただいたところでございますので、直売所や、また、地域資源の活用について、市長にリーダーシップを発揮していただいて取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。

 次に、中小企業振興資金融資について伺います。
中小企業振興資金融資は、今日まで資金調達が困難な中小企業の保護、育成や中小企業の経営安定、産業振興、操業支援などの歴史を積み重ねてきた政策であり、新年度の商工費予算72億6,059万9,000円のうち62億円、85.39%、さらに、商工業振興費65億9,682万9,000円の実に93.98%を占める本市商工業振興事業の柱と言えます。
 しかし、近年の制度融資予算に対する貸出額が占める割合は、令和元年が51.02%、災害とコロナ対策として緊急メニューが追加された令和2年は188.82%で、その後は令和3年20.47%、令和4年が22.21%と推移をしています。そのため、当該事業が十分活用されているのか、市民ニーズに合致しているのか、原点に立ち返り検討すべき時期にあると考えます。
 担当課に確認をさせていただいたところ、中小事業者が本制度の活用を希望する場合、事業者は金融機関に相談し、信用保証協会から保証の内諾を得て商工会等の団体に経営相談をし、融資あっせん申込書に必要書類を添えて団体に提出すると、団体は報告書や意見書を作成するため、実地調査を行った上で融資あっせん申込書を市に提出し、市は要件審査を行い、決定した場合は事業者が金融機関と契約を交わし、融資が実行されるという流れとお聞きしました。
 商工会等の団体が市に提出する報告書、意見書とはどういうものなのか。また、本市は直接融資を希望する事業者との接点は持たない、関与しない、ということでいいのか、伺います。

商工観光部長:長野市中小企業振興資金融資制度、いわゆる制度資金は、市内中小企業が事業の発展と経営安定のために必要とする資金を円滑に調達できるよう、市が金融機関に対して資金を預託し、金融機関を通じて長期、固定、定期の融資を行う制度でございます。
 融資に当たりましては、一部の資金メニューを除きまして、長野県信用保証協会の保証をつけていただきますが、その保証料は市が一部もしくは全額を保証しております。
 御質問の商工団体等が市に提出する報告書、意見書の内容でございますが、商工団体等が行う実地調査の結果に基づき、申込み者の事業内容、経営分析、資金用途となる申込み内容とその効果等をまとめたものとなっております。この報告書に加えまして、資金メニューや資金使途ごとに定められた意見書や設備等の見積書などを添付し、融資の申込書と合わせて市へ提出していただくこととなっております。
 次に、市の事業者との接点、関与でございますが、申込み者は事前に商工会議所や商工会など各機関から専門的なアドバイスを受けているため、市は、直接ヒアリングなどは行いませんが、提出書類を厳格に審査した上で最終的に決定しているものでございます。

鈴木: 報告書、意見書に基づいて決定をされるというようなことでございましたけれども、本市はそれに基づいて、接点を持たずにその提出された書類に基づいて最終的な判断をされているということで、基本的には関与していないということでよろしいですか。

商工観光部長: 商工団体等が適切な指導等を行っておりますので、私どもといたしましては書類審査という形になってまいります。

鈴木: 次に、本融資制度の預託金は4月に各金融機関に預託され、期間中の融資の有無を問わず、翌年3月には全額が市に返還されるというものです。
 初めに、本市のリスクと費用について2点伺います。本制度は信用保証協会の保証つき融資であり、金融機関と信用保証協会が責任を共有する制度です。仮に事業者が返済困難となった場合、金融機関は融資額の20%のリスクを負い、保証協会が80%の代位弁済が行われるとのことですが、本市のリスクはゼロということでいいのか。
 また、融資の際に発生する保証料について、市が全額負担の場合や9分の7を負担する場合があるということでありますけれども、本市に発生する費用はこれだけなのか、伺います。

商工観光部長:事業者が返済困難となった場合の市のリスクにつきましては、債権を有するのは中小企業へ直接資金を貸し出した金融機関と中小企業に代わり返済額を肩代わりする信用保証協会になりますので、市のリスクは制度上発生しないものとなっています。
 次に、信用保証料以外の市の負担ですが、市は中小企業の経営安定化を支援するため、本制度資金を利用した企業に対し、資金メニューごとの保証料について全額または9分の7の補助率により負担をしているもので、これら以外の費用負担というものはございません。

鈴木: それでは、この制度資金事業の実態について3点伺います。
 年度ごとの融資限度額や融資残高の上限または返済金の回収管理など、実質的な制度の運用は金融機関と保証協会が行っているということでよろしいか。
 金融緩和下において金融機関は預託金を必要としているのか、また、預託金は金融機関の調達コストを下げるためのものと考えていいのか。預託金が適正な額なのかを含め、市の預託金の意義や役割はどこにあるのかなど、踏み込んだ協議を進めていくことが必要ではないかと考えますが。
商工観光部長:本制度資金は、市金融機関、信用保証協会が協調し合い、それぞれの立場で責務を果たすことにより、資金調達が困難な中小企業等を支援し、地域経済の活性化を図るものでございます。その上で、年度ごとの融資限度額や融資残高の上限につきましては、実施主体である市が融資を実行する金融機関と預託金額等を含めた協議を前年度中に行い、次年度分を決定しております。
 また、返済金の回収管理につきましては、債権を有する金融機関及び信用保証協会がそれぞれを担うこととなっております。
金融緩和下における金融機関の預託金の必要性やコスト及び預託金の意義や役割につきましては、昨今の金融緩和に伴い市場に出回る資金の供給量が多いという状況では、比較的経営が安定している企業は金融機関から直接融資を受けやすくなるものの、操業間もない事業者など経営基盤が弱い企業はこうした資金調達はなかなか難しいというのが現状でございます。
 本制度資金では、資金調達困難な事業者を支援するため、貸付けの原資である預託金により、通常金融機関が独自に貸し出すときの金利よりも安い金利で融資が可能になるとともに、金融機関の資金調達コストも下げることができます。また、融資に信用保証協会が保証をつけることで、金融機関の貸し出しリスクも下げることができます。その結果、企業の資金調達を容易にし、長期、固定、低利である融資制度となっております。
 なお、令和6年度の預託金予算額は62億円を計上しておりますが、取引や決算が困難となるような突然の災害や急激な景気の後退時においても、迅速かつ柔軟に対応できるような融資枠が必要とされており、引き続き一定枠は確保してまいりたいと考えております。

鈴木: 今、御答弁いただきましたけれども、基本的にこの制度融資の一般的な行政、地方自治体の役割というのは、利用者の負担を軽減するというのが大きな役割だと思います。保証料交付金も、毎年2億4,000万円ほどたしか計上されていると思いますけれども、こういったところにもう少し目を向けるであるとか、今ほども災害等々の場合における対応の部分である程度の額が必要だというようなことではありましたけれども、しかしながら、先ほども御紹介したように、なかなか貸し出しの実績というものが上がっていないというようなことを考えてみますと、やはりこの制度そのものについて改めて検討すべき時期ではないのかなと思いますけれども、この点、部長、もう一回御答弁いただければと思います。

商工観光部長:確かにコロナ禍におきましては、融資額が減少する時期がございました。ただ、今年度、令和5年度におきましてはまた制度融資の申込みが増えている、そういう状況ですので、必要額はこれからも確保していきたいと考えております。

鈴木: 協調倍率とかもありますので、やはりもう一回その額が適正なのかどうかは検討していただきたいと思います。
制度融資自体の評価は、金融機関、保証協会、商工会等から意見収集し、効果的な制度となるような協議が行われているとのことでありますが、一番重要な融資案件ごとの事業評価はどうなっているのでしょうか。
 制度融資は本市の責任で実施している事業であり、また、新年度予算編成方針に事業の費用対効果や将来を見据えた投資効果などを検証と掲げていることから、個別案件ごとに融資の効果を検証すべきではないでしょうか。例えば、スタートアップ操業に貢献できているのか。

商工観光部長:融資案件ごとの事業評価と効果の検証につきましては、企業活動をサポートする金融機関、それから信用保証協会及び商工団体など、各機関が案件ごとの評価や効果検証、フォローアップ等の伴走支援を実施しております。
 市の役割といたしましては制度全般の効果的な運用を図ることであり、そのためには各機関からの様々な御意見、御要望などを集約するとともに、商工労働課職員が行う企業訪問等で企業が抱える課題等をお聞きしながら、資金メニューの改廃や資金需要が高まる要素のある資金を新たに構築するなど、年度ごとの制度設計に生かしていくことが重要であると考えております。
 続きまして、操業支援資金の効果につきまして、先ほども申し上げましたように、コロナ禍前に200件前後あった利用件数が一時期半分程度にまで下がったものの、ここ2年ほどで再び増加しており、今年度は1月末現在で162件に達しております。これは近年、働くことに対する意識や価値観の変化、コロナ禍を経てテレワーク等の普及により働き方の多様化などを受け、キャリアの選択肢として起業、操業に注目が集まっている中、本資金の金利が1.1%と低く、また、保証料が全額補助となる上、信用保証制度の要件に合致すれば連帯保証人が不要となるなど、経営基盤の弱い起業家やスタートアップ企業の経営確立を支援するとともに、チャレンジ意欲の後押しに貢献しているものと考えております。

 以上です。今回、時間の配分がうまくできず、予定していた2つの質問に至らず、少々反省ですが比較的前向きな答弁を引き出すことができ、また、私の問題意識を市側に共有してもらったと受け止めています。
兎にも角にも、引き続き、頑張ります!



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