新年度(令和4年度)を前にして

鈴木洋一

2022年03月24日 19:45

 去る3月22日(火)、令和4年長野市議会3月定例会が議了となりました。今定例会に上程された議案は、すべて原案通り可決となり、私は全ての議案に対し、賛成を致しました。賛成に至った私の考えの一端をご報告いたします。

 令和4年度予算は、荻原市長にとって初となる通年予算であり、その手腕に期待が寄せられるとともに真価が問われることとなります。令和3年度に引き続き、依然、長野市は「令和元年東日本台風災害からの復旧・復興」と「新型コロナウイルス感染症対策及び影響を被った市民生活と社会経済活動を取り戻す」ための力強い予算編成とすることが必要不可欠です。

 既に本ブログでもご報告させていただいた通り、3月4日の一般質問において、私が取り上げた「新型コロナウイルス対策」、「治水安全度の向上」に関する対策について、現時点では公益に資する内容であると受け止めています。

 まず、令和4年度(新年度)予算の概要ですが、一般会計予算1,622.7億円(対前年度+69.9億円、+4.5%、過去3番目の規模)で、ポイントは、新型コロナウイルス感染症対策 121.3億円(対前年度+50.9億円)、まちのにぎわいの創出 76.6億円(対前年度+37.6億円)、行政DXの推進 1.8億円(対前年度比1.5億円)等です。

 新型コロナウイルス感染症対策では、感染症対策事業として、ワクチン接種で12億円、PCR検査等の行政検査に5.8億円、新型コロナウイルス感染症対策有識者会議で67万円、また、地域経済活性化・事業者支援では、飲食推し店プラチナチケット事業2.9億円、プレミアム付商品券事業31,7億円、感染症関連資金融資預託金62億円等、当初予算の段階では、概ね必要な予算確保がされていると思います。

 しかし、一般質問でも指摘させていただきましたが、肝心の感染拡大防止に向けた体制と対策の更なる強化、有識者会議の明確な位置付けと議論の進め方等、引き続き、確認していかなければならない点が多々あるとともに、市民の多様なニーズを真摯に受け止め、適宜、必要な対策と財源措置について具申していきたいと思います。

 そして、治水安全度の向上に関しては、令和元年東日本台風から今日にいたるまで、千曲川、犀川流域にお住まいの多くの市民は、毎年、出水期を前に、恐怖と不安をおぼえ、災害が起きないようにと、祈っていると思います。信濃川緊急治水対策プロジェクトに基づき進められている河川整備の早期の完了が期待されていますが、現時点の治水能力では幸運を祈る部分も決して少なくないと考えます。
 私の一般質問に対し、市長より「信濃川水系緊急治水対策プロジェクトにおける流水域整備、河道掘削等の対策により、市全域における治水安全度が向上することから、国土交通大臣政務官に整備計画の前倒しの要望を行った」との答弁があり、更に、新年度予算の中でも措置されている(仮称)治水対策研究会についての質問に対し、「千曲川関係の5団体に加え、市内を流れる河川ごとに設立されている期成同盟会の代表者が一堂に会し、治水対策や流域治水に関する研究や意見交換を行う機会を設け、確実に河川管理者に伝えていく」との答弁でありました。今後も、これまで同様、議論を続けていきますが、まずは、長野市としての取り組みに期待したいと思います。

 今定例会で上程され、各常任委員会(総務・福祉環境・経済文教・建設企業)に付託された議案の審議が、3月14日~16日まで行われましたが、その最終日の16日、私が委員長を務めております市議会建設企業委員会では、現在、信濃川水系緊急治水対策プロジェクトに基づき整備が進められている千曲川赤坂橋河道掘削現場において、現地調査を行いました。
 河道掘削により洪水時に流れる断面が大きくなることで、流下能力の向上に繋がり、その効果に期待が寄せられています。令和9年度末までの整備完了を目指し、段階的に各所で河道掘削が進められておりますが、気候変動による水害のリスクが高まりから早期の事業完了が待たれます。
 先の市長の答弁にあるように、国に対し、市長の強力な要請に期待したいと思います。

 長野市として令和4年度(新年度)は、令和元年東日本台風災害からの復興予算として9,7億円(対前年度46.2億円)が措置されていますが、主な内容として、長沼地区河川防災ステーション整備(令和4年度分)支所仮設庁舎リース、埋蔵文化財調査、道路築造、地盤調査等、(仮)豊野防災交流センター整備(令和4年度分)実施設計、用地造成工事、周辺道路整備工事等と、先述した(仮称)治水対策研究会も含まれています。対前年度で減額となっているのは、災害公営住宅美濃和田団地事業が今年度で完了したことによるものです。
 まだまだ復興途上にあることから、防災・減災対策の推進と被災者支援への積極的な関与が長野市には強く求められております。

 そして、様々な事業を遂行していく上で肝心なのが歳入です。長野市は、コロナ禍であった令和3年度について、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響により、主要税目で大幅な減少を見込んでいました。しかし、その影響は限定的であったことから、市税全体で前年度比 0.9 億円減に止まると見込んでいます。
 国は、令和4年度の税収について、地方税と国税収入の増加を見込んでおり、長野市においても、令和4年度当初予算で、個人市民税及び法人市民税において新型コロナの影響が緩和され、持ち直しがみられること、また、固定資産税に係る新型コロナ軽減措置の終了等により、令和3年度見込みと比較して、8.7 億円増の 588.7 億円と見込んでいます。
 他方、国・県支出金は13.4億円減の359.9億円、地方交付税では8.4億円減の191.7億円となり、また、市債については、12.5億円増の138.4億円でありますが、未だ、コロナの収束が見通せず、世界情勢、国内における経済政策等を考えると、下振れリスクを考慮しなければならない状況であると認識する必要があると思います。仮に、経済社会情勢により市税の減収等が見込まれ場合には、地方交付税の特別交付金や臨時財政対策債、財政調整基金等によって対応は成されるのだろうと推察しますが、歳出も当然ですが、歳入の状況についても確認せねばならない重要なことです。

 いよいよ新年度が始まります。長野市が掲げる「幸せ実感都市ながの」の実現は、今の世代はもとより、子や孫といった次世代にいたるすべての市民の願いです。市民の生命と財産を守り、安全安心なまちづくりを進めていく上で、今、何ができ、何をすべきか、を明確にした上で、着実に前に進めていかなければなりません。
 直面している課題への対応、そして、先を見据えた行財政運営に緊張感を持って取り組むことに期待するとともに、新年度(令和4年度)を前にして、市長のリーダーシップとともに、私も予算案に賛成した立場から「健幸増進都市」実現に向け、邁進してまいります。


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