コロナ予算か、新年度予算編成へ
早いもので、令和2年もあと半月を切りました。私自身の今年一年を振り返ると、昨年の台風第19号災害への対応、そして、現時点においても感染が拡大している新型コロナウイルスの影響により、中々、例年通りの思うような活動ができず、歯がゆさとともに精神的に厳しさを感じる日が多かった、と思います。安全で安心できるワクチン接種等により感染が抑制され、一日も早いコロナの収束を願いながら、新年の準備を進めています。
年の瀬が近づく中、国や県、そして長野市では、新年度予算編成に向け、慌ただしさが増していると思います。過日、信濃毎日新聞は、長野県の新年度予算要求概要(県予算要求1兆497億円(一般会計))について報じました。
まず、1兆497億円(一般会計)は、1、599億円に上る新型コロナウイルス感染症対策関連予算要求額により膨れ上がり、2020年度当初予算比で10.8%増、かつ、史上最大であった2001年の1兆562億円に次ぐ規模とのことですが、コロナ関連予算を差し引くと2020年度比で6.1%減の8898億円であり、ここは押さえておくべき点だと思います。
昨今の状況を鑑みると、新型コロナ対策の予算要求は絶対必要であり、状況に応じて可及的速やかな対応が求められます。コロナ関連1599億円の内容については、感染者を受けいれる病床確保に102億円、軽症・無症状者向けの宿泊療養施設確保で39億円と実に141億円の要求がされています。現在、県が公表している確保病床数は、医療機関で350床、宿泊療養施設250室ですが、141億円の中身はどうなっているのか、例えば、病床数は増えるのか、医療従事者のマンパワーの状況はどうなのか(病床の確保数と使用可能数の乖離)、感染者を受け入れている医療機関等の経営状況を正確に把握しているのか、更に、経営支援等を講じていくのか等、気になるところです。
特に、病床確保について長野市保健所長は、県が行っている、こととして、長野市としての具体的な取り組み方針を示していないことから、141億円の内容と病床確保、マンパワー等について、正確な情報提供を期待したいし、してもらわなければなりません。
また、感染拡大に伴い大きな打撃を受けている飲食・観光事業者はじめ資金繰りに悩む中小企業向けの制度融資経費として1682億4800万円の要求額で過去最大規模の支援態勢を整える、としています。
一方で、台風19号災害関連の復旧・復興事業費は20.5%減とされる中、国や県、流域市町村が連携して進めている「信濃川緊急治水対策プロジェクト」事業として、雨水貯留設備普及のための予算39億1400万が要求され、災害時の逃げ遅れをなくすためのマイタイムラインをスマートフォンで作れるアプリ開発などの予算も求められている、とのことです。
長野市も含め、長野県においても直面している課題は多岐に渡っています。県は台風第19号災害に加え、新型コロナにより県税収入の落ち込みを見込み、国庫補助の活用で自主財源の持ち出しを抑えるとしながらも、義務的経費の見直しについても検討する、としています。
税収の落ち込みは日本全体共通の悩みであり、大阪府は、不要不急の事業を先送りして財源をコロナ対策にシフトし、コロナ対策を重点的に行うため、①3密対策に課題があり感染リスクが高い事業 ②社会経済情勢などコロナで事業実施の前提が崩れた事業 ③関係機関の動向で事業実施が困難な事業 ④府庁の業務改善のうち緊急を要しない事業 ⑤その他スケジュール変更が可能な事業、の5項目の事業は原則として見直し、その結果、447事業1050億円をコロナ対策にシフトしていくとのことです。
先行き不透明な要素が多く、各自治体の力量が問われる、そんな新年度となることを想起させます。既に長野市は、令和3年度予算編成方針を示しており、市民の安全で健康な暮らしを守る事業を進め、地域産業を牽引する企業の育成・支援等、市域経済の活性化に向けた事業を積極的に推進していく、とし、一方で財源の不足による事業の停滞が懸念されることもあり、「スクラップ・アンド・ビルド」、「選択と集中」の徹底によりメリハリのある予算と、ICT化、業務の合理化等、行政のスリム化・効率化を進め、安易な市債発行に頼ることなく「健全財政の堅持」を予算編成の基本姿勢として、歳入の確保と歳出の削減に取り組んでいく、としています。
来年早々にも、長野市の新年度予算のより具体的な中身が見えてくると思います。税収減の見通し、各種基金の残高、財源捻出のための事業見直し等、来年度の予算編成方針を厳しくチェックしていくために、年末年始、しっかり整理してまいります。
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