改革ながの市民ネット行政視察(その2)

鈴木洋一

2018年07月03日 20:40

 行政視察2日目は岩手県盛岡市の「サウンディング型市場調査」取り組みについて調査研究を行いました。
まず、「サウンディング型市場調査」とは、行政が行う公共施設などの大規模改修や新規建設事業等を行う場合に、事業発案段階で官民での対話を通し、市場性の有無や実現可能性、アイデア等を把握する目的で行うもので、事業案が策定された後、事業者公募に反映させ、官民双方にメリットを生み出すためのものです。

 この調査の際に重要となるのが、官民による対話であり、精緻な資料等を用いたりせず、負担の少ない中で官民の意思疎通をはかることとなります。そこで得られたことを事業に繋げていかなければなりません。

 盛岡市では昨年度、老朽化した勤労者センター「サンライフ盛岡」の大規模改修に関するサウンディング型市場調査を実施し、効率的かつ効果的な工事手法、空調機器使用に対する考え、性能発注や設計施行一括発注などの発注方法に対する考え等についてサウンディングを行い、その結果を踏まえ設計・施工事業者一括選定方式を用いた性能発注による大規模改修実施へとつなげております。この手法を取ることによりコスト削減、工期短縮といった効果が期待されるところです。

 更に、盛岡市は、平成28年度に内閣府の地域プラットフォーム形成支援を取り入れ、官民連携プラットフォームセミナーを開催し、以後、PPP、PFI手法の取り組みを推進する体制を整えてきました。民間事業者の創意工夫やノウハウを活かした体制を整備することで事業案件の形成に向けた検討準備の場を設け、金融機関、各団体がコアメンバーとなり「もりおかPPPプラットフォーム」が設置されたということです。
 昨年10月に開催されたプラットフォームでは約100人の参加のもと、上述の「サンライフ盛岡」の大規模改修に関するサウンディング型市場調査について議論が交わされたとのことです。

 サウンディング型市場調査といえば、横浜市が実施したことから全国的に広がり、現在では様々な事業において取り組みが普及し、盛岡市では上述の他に、現在、(仮称)新盛岡バスセンター整備事業を進める中においても取り入れているようです。

 長野市では、今年度に入り、市内全小中学校へのクーラー設置等、サウンディング型市場調査の導入を決めております。盛岡市も緒に就いたばかりの中で、進めていくにあたり留意しなければならないことも見えてきているようです。例えば、参加者によっては、対話への参加が事業者選定時のインセンティブとなると捉えたり、行政側の発言内容を自身の都合のいいような捉え方をしたり、といったことを想定しながら対話参加に係る前提条件を明確に示さねば、という認識を持っているとのことです。また、課題が少しずつ見えてきたようで参加事業者が限定的となってしまうといったことから更なる検討が必要としております。あくまで事業を効率よく、かつ、効果的に行うという目的に敵うものである必要があります。
 こうしたことも踏まえ、長野市担当課、そして議会としても未知の領域であるとも言えることなので、じっくり検証を行いながら活かし、進めていかなければなりません。

関連記事