長野市活力ある学校づくり検討員会を傍聴

鈴木洋一

2017年11月16日 20:56

 本日、第10回の長野市活力ある学校づくり検討委員会が開催され、傍聴させていただきました。私は、既にご報告のとおり、常任委員会では「経済文教委員会」、特別委員会では、少子化を踏まえ、小規模な小・中学校を取り巻く子どもの教育環境と地域の在り方について、調査・研究を行う「小・中学校の在り方調査研究特別委員会」に所属しており、検討委員会にて議論されている内容も議会での委員会審議にも大きく影響をしてまいります。
改めて、長野市の公立小・中学校を取り巻く現状と課題として、
・全校で99人以下の小学校が11校(20.4%)、中学校が7校(29.2%)
・全校で11学級以下の小学校が22校(40.7%)、中学校が9校(37.5%)
・将来人口推計によると2060年の15歳未満人口は2010年の41%、中山間地では同じく27%
・「自立した18歳の育成」を目指した教育を推進
・通学区と行政区が一致しないところがある
・本市の公共施設のうち33.5%が学校(公共施設を現状のまま維持できない)
・学校施設は、今後、学校施設長寿命化計画に基づく計画的な老朽化対策を推進
・学校施設は学校教育以外にも役割がある(災害時の拠点・社会体育の活動場所など)
等が挙げられます。

 前回の検討委員会は傍聴できませんでしたが、これまでの議論の中で次のような内容の意見が出された、と資料の中にまとめられておりますので一部抜粋します。

「人口が減少し、児童生徒数も減少する中で、学級数や児童生徒数に軸足を置いて学校の適正規模の基準を決めると、どこまでいってもイタチごっこになってしまう。学校の適正規模をどのように考えていくのか、小規模ではいけないのかということを併せて議論していかなければいけない」

「学力など学校の授業をきちんとやるという点では、中山間地域での少人数教育は効果があるだろう。しかし、クラスの中で机が二つしかないような状況で6年間生活したらどうなるのか。そのような観点も必要」

「子ども達にとって豊かな学びの環境を考えた時、幼い時期は、安全・安心、地域の見守りの中で子どもが育つこと、通学距離の問題などが優先されるべきだ。大きくなるにつれて、学びの質の中身として優先されるべきものは、集団の中で学ぶこと、その中で培われる社会性や自立性などが保障されることである。そのような質の変化があることを前提に考えていかなければならない」

「子ども達にとって一番いい規模、教育環境、教員数も含めた問題を柱にしていかなければ、地域のエゴが出てしまう」

「新しい学校の枠組みを考えるべき。既存の枠組みだけでは限界がある。学校の活力とは何なのか、子ども達にとっての教育の質とは何なのか、そこに立ち戻って考える必要がある」

「小規模校は先生の目が届くという点でいいかもしれないが、子ども達が大きな集団になれないのは、子どもの成長の中で大きなデメリットだ。中学・高校と大きな集団に入っていく中で、環境の差が大きい」

「小学校1年生から4年生ぐらいまでの間においても1人ではなく、やはり関わりの中で育てた方がいい。複式学級による縦のつながりや地域とのつながりをつくった方がいい」

「ある程度の規模の学校なら部活動等でも先輩後輩の関係など様々なものが学べるのに対し、小規模校ではこのような経験ができないのは非常にかわいそう」

「小規模校を抱えている地域では学校を中心に地域が成り立ち発展している。地域には文化、歴史、そういう大きなものがあり、地域の文化や伝統を経験させることは子どもにとっても大事なことではないか」

 一部ですが、本日までの10回の委員会では多くの意見を基に、様々な議論が重ねられました。少子化が進展している中において、子どもたちにとって最良の教育環境とはどういった姿なのか、現在でも大きな課題である小規模小・中学校を今後どう配置していくのか、同時に地域との関わり合い等、より具体論に入っていけばいくほど、乗り越えなければならない具体的な課題が多くなってきます。いよいよ各論に入っていく段階です。来年6月に検討委員会より答申がなされる予定ですが、常任、特別委員会において私自身、しっかり調査研究、議論を深めていきたいと思います。

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