誰のための働き方改革か
2018年05月27日
鈴木洋一 at 07:56 | 活動
働き方改革関連法案が審議不十分の状況下で衆院厚生労働委員会で強行採決され可決しました。私も16年半をサラリーマンとして過ごし、後半は人事部門の責任者を務めておりましたので、従業員の労働時間管理から職場環境の整備等、今でも相当な関心を寄せており、働くことでもたらされる恩恵、幸福感を増していくことができるような社会の実現を目指しております。
5月26日の午後、連合長野さん主催による2018地域フォーラム㏌長野が開催され、法政大学の藤村博之教授より「働き方改革」は何をもたらすのか、と題した基調講演をお聞きしてきました。
働き方改革の議論は、今から25年前の1990年代半ばの成果主義の議論に似ているとのこと。1990年代半ばといえば、私自身も会社員として仕事をしていた時期ですので、当時、成果主義が人事面に影響を与えるものとなる、との認識を持ち始めた時期であったと思います。
仕事で成果をあげれば給与は上がり、逆に、成果をあげられなければ現状維持で、厳しい社会情勢下で、中々仕事へのモチベーションを高めることが難しかった側面もあったのではないかと思います。同時に、従来の年功序列主義に代わる成果主義の導入、更に、採用抑制等から個々の従業員への負担が増え始めた時期でもあると思います。それが長時間労働時代への本格的な突入に繋がってきているのではないかと思います。
政府の働き方改革の目的はいくつかありますが、藤村先生の講演では、いずれの目的も少子化が問題の根源にあるとのことでした。
人口減少に直面する日本社会→労働力の確保策→女性・高齢者・外国人、特に、一億総活躍社会は女性と高齢者に期待を寄せている→少子化を止めることが大きな課題→若年層の所得向上と長時間労働の是正が有効である、という流れの論理です。
日本では、結婚することが子供を持つことの前提とされており、30~34歳女性の未婚率は1980年に9.1%だったものが、2015年には34.6%へと大幅に上昇。なぜ結婚しないのか、結婚観の変化もあるが、所得の低下が大きな要因となっている。厚労省の成年者継続調査によれば、男女とも初職が正規の方が、非正規よりも結婚経験の割合が高い、また、所得が高ければ高いほど結婚の割合が高くなる、という結果が出ているようです。つまり、所得の向上が婚姻率を上げる、また、少子化対策に繋がる、というものです。
更に、長時間労働と出生率の関係をみると、社人研の出生動向調査では、バブル崩壊後の不況により新卒採用控え、現状の人員で様々な仕事をこなすという職場環境から長時間労働が常態化することとなり、2005年以降から完結出生児数が2.00を割り、2015年は1.94という結果となっております。また、夫の休日の家事・育児時間別にみた出生状況では、家事育児の時間が少ないほど「出生なし」の割合が高く、つまり、夫の家事育児の時間が多くなれば「出生あり」の割合が高まる、という結果も出ているようです。平日の仕事が大変で、長時間労働からくる疲労回復のために土日が休みであっても家事の時間をほぼ持てない、休息の時間に充てざるを得ない、という社会状況では少子化の問題解決にはつながらない、ということです。よって、長時間労働が与える影響は、身体のみならず、少子化対策を考えても、根の深いものであるといえるのではないでしょうか。
誰のための働き方改革なのか、長時間労働の本当の原因はどこにあり、どう解決すれば良いのか、長時間労働の先に何があるのか、表面的な現象のみに捉われるのではなく、本当の原因を解明しながら、働くことで更なる幸福感を高めていくために行政のみならず、労使ともに考えていく必要があるのではないか、と感じた次第です。
5月26日の午後、連合長野さん主催による2018地域フォーラム㏌長野が開催され、法政大学の藤村博之教授より「働き方改革」は何をもたらすのか、と題した基調講演をお聞きしてきました。
働き方改革の議論は、今から25年前の1990年代半ばの成果主義の議論に似ているとのこと。1990年代半ばといえば、私自身も会社員として仕事をしていた時期ですので、当時、成果主義が人事面に影響を与えるものとなる、との認識を持ち始めた時期であったと思います。
仕事で成果をあげれば給与は上がり、逆に、成果をあげられなければ現状維持で、厳しい社会情勢下で、中々仕事へのモチベーションを高めることが難しかった側面もあったのではないかと思います。同時に、従来の年功序列主義に代わる成果主義の導入、更に、採用抑制等から個々の従業員への負担が増え始めた時期でもあると思います。それが長時間労働時代への本格的な突入に繋がってきているのではないかと思います。
政府の働き方改革の目的はいくつかありますが、藤村先生の講演では、いずれの目的も少子化が問題の根源にあるとのことでした。
人口減少に直面する日本社会→労働力の確保策→女性・高齢者・外国人、特に、一億総活躍社会は女性と高齢者に期待を寄せている→少子化を止めることが大きな課題→若年層の所得向上と長時間労働の是正が有効である、という流れの論理です。
日本では、結婚することが子供を持つことの前提とされており、30~34歳女性の未婚率は1980年に9.1%だったものが、2015年には34.6%へと大幅に上昇。なぜ結婚しないのか、結婚観の変化もあるが、所得の低下が大きな要因となっている。厚労省の成年者継続調査によれば、男女とも初職が正規の方が、非正規よりも結婚経験の割合が高い、また、所得が高ければ高いほど結婚の割合が高くなる、という結果が出ているようです。つまり、所得の向上が婚姻率を上げる、また、少子化対策に繋がる、というものです。
更に、長時間労働と出生率の関係をみると、社人研の出生動向調査では、バブル崩壊後の不況により新卒採用控え、現状の人員で様々な仕事をこなすという職場環境から長時間労働が常態化することとなり、2005年以降から完結出生児数が2.00を割り、2015年は1.94という結果となっております。また、夫の休日の家事・育児時間別にみた出生状況では、家事育児の時間が少ないほど「出生なし」の割合が高く、つまり、夫の家事育児の時間が多くなれば「出生あり」の割合が高まる、という結果も出ているようです。平日の仕事が大変で、長時間労働からくる疲労回復のために土日が休みであっても家事の時間をほぼ持てない、休息の時間に充てざるを得ない、という社会状況では少子化の問題解決にはつながらない、ということです。よって、長時間労働が与える影響は、身体のみならず、少子化対策を考えても、根の深いものであるといえるのではないでしょうか。
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令和6年度予算案が可決となりました
3月定例会一般質問
令和6年長野市議会3月定例会開会
市議会議会運営委員会による行政視察報告
水道事業広域化調査研究特別委員会行政視察の報告
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